山形地方法務局は、いじめや虐待など人権侵犯事件の０９年の調査結果を公表した。家族の間での暴行虐待は、前年より２３件少ない７０件で、過去８年で最も少なかった。しかし、法務局人権擁護課の矢野京主任は「実際に暴行虐待が減ったわけではなく、児童相談所や地域包括支援センターなど他機関への相談が増えたのでは」と推測している。

　家族の間での暴行虐待のうち、最も多い夫から妻への家庭内暴力（ＤＶ）は前年より１２件少ない４０件だった。このほか▽親の子への虐待１０件（前年１１件）▽子の親への虐待７件（前年１２件）－－など。

　人権侵犯事件の疑いがあるとみて、法務局が０９年に新たに調査を始めたのは計２０２件。前年より１８件少なかった。学校でのいじめは、前年の６件が１３件と倍増、うち１２件は学校に対策を求めるなどした。教職員の体罰や暴言などの不当指導は９件（前年６件）だった。

　一方、職場内での嫌がらせやパワハラは１６件と、過去７年間で０３年の１８件に次いで多かった。矢野主任は「パワハラの言葉が社会で浸透するようになり、これまで我慢していた人たちが言い出しやすくなったのでは」と話している。【林奈緒美】

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毎日新聞　2010年4月3日　地方版