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from: 21世紀さん
2010年11月22日 19時53分35秒
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ストーカー凶行、規制法は防げず 保護対策求める声
2010年11月21日 朝刊
「娘を返してほしい」。ストーカーの男に殺害された東京の耳かき店店員江尻美保さん=当時(21)=の母親(54)は無念さをにじませた。ストーカー規制法が施行されて二十四日で十年。被害者にやいばが向けられる前に、付きまといなどをやめさせる切り札になるはずだったが、美保さんのように命を奪われる悲劇をなぜ止められないのか。
母親は昨年八月、美保さんと実母=当時(78)=が自宅で林貢二受刑者(42)に殺害された現場に居合わせた。引っ越しを余儀なくされ、事件のショックで外出できない日が続くが、「ストーカーに苦しむ人の助けになるなら」と十一月上旬、初めて取材に応じた。
「心配かけるから言わなかったけど、ストーカーの被害を受けてるの」
美保さんが母親に打ち明けたのは昨年七月。数カ月前から常連客だった林受刑者に駅で待ち伏せされていた。尾行におびえて防犯ブザーや催涙スプレーを持ち歩き、同僚から警察に届けるよう勧められたが「家族が心配するから」と断った。
林受刑者は裁判員制で初の死刑を求刑されたが、無期懲役判決が確定。美保さんの父親(57)は「判決は娘が受けたストーカーの恐怖が反映されなかった」と悔しがる。
規制法では、被害者は警察に申し出て加害者に警告を出してもらうことができる。警察庁によると、施行後、警告は全国で一万件を超えたものの、昨年末までに摘発された付きまといの末の殺人や殺人未遂事件は延べ八十八件に上り、美保さんの事件のように家族が巻き添えになった例も多い。
「多くの被害者は『家族や周囲に迷惑をかけたくない』『仕返しが怖い』と警察への届け出をためらう」と話すのは、解決を手助けするNPO法人「ヒューマニティ」(東京)代表の小早川明子さん(51)。「困り果てて警察に行っても、警察署によって対応はばらばら。『十分間に三回以上電話がないと』と渋られ、警告を出すのを断られた人もいる」と憤る。
ドメスティックバイオレンス(DV)の場合、防止法で各都道府県に相談窓口が設けられ、公費による一時保護制度もあるが、ストーカー規制法にはそうした対策はない。神戸市の長谷川京子弁護士は「規制法は被害者保護の視点が足りない。行政と民間が連携し、総合的に支援する制度をつくらないと悲劇は止められない」と話している。
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東京新聞-
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