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from: 葛葉平蔵さん
2009年06月10日 23時06分11秒
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甘い思い出
カレーなら1週間3食でも平気だ。
辛ければ辛いほど良い。
本格的なお店のカレーも大好きだ。
自分で作る時、隠し味にチョコレートやインスタントコーヒー。
焼肉のタレやケチャップ等を微妙に加えるのも好きだ。
カレーはどんな具、隠し味も受け入れてくれる。
刺激的ながら懐の深い逸品だ。
不味く作る方が難しい…。
そう、難しい筈なのだが
かつて壊滅的に不味いカレーを食した事がある。
あれは中学生頃か。
当時我が家の主婦活動は祖母が行っていた。
その日も夕食のカレーは祖母が作っていたのだが…
「平蔵ちゃん、ちょっと味見してくれんか?」
「いいよー」
新しいルーを使ったのか、子供の私には少し辛かった。
「ばあちゃん、いつもより辛いねえ」
「あら、そうかね?」
しかし食べられない訳では無かったので特に気にもせず
私はそのまま部屋へと戻った。
何しろ大好きなカレー。どんな辛さでも平気である。
その後夕食に呼ばれ食卓につき、件のカレーを見ると…
「…チクワ?」
味見したときには気づかなかったが、この日のカレーの具は斬新だった。
通常の具に加え、チクワ、カマボコ、タクアン。
冷蔵庫の在庫処理でもしたのだろうか?
「イタダキマス」
不穏な気配を感じつつもカレーを口にした。
「??????」
甘い。
劇甘い。変に甘い。口に入れたスプーンを出せない程甘い。
最早カレーとして成り立たない位甘い。
そのくせ辛い。
口がヒリヒリする。この辺りがわずかにカレー。
意味がワカラナイ食べ物である。
「…ばあちゃん…異様に甘くない?」
私の混乱を他所に、祖母は平然と言った。
「さっき平蔵ちゃんが辛いって言ったから甘くしたよ。
あの後味醂と砂糖とリンゴを入れたからねぇ」
そりゃ甘いワケだーーーーーー!
つーか香辛料辛いのが糖分で中和されるか!!!
「ばあちゃん、これちょっと…マズイよ…」
本当はちょっとどころか、この世の終わりを感じた程不味かったのだが、そこは堪えつつカレーを残してしまった。
しかし祖母は普通に食べていたのが不思議だ。
甘いカレーがあれ程不味いものだとは。
タイのカレーのココナッツミルク甘いのとは全然違うのだよ。
その後しばらくカレーを食べる時は用心深くなってしまった。
まあ味醂が入ることは無かったが、おかしな具が入ることはよくあった。
たまにリンゴの入れすぎでフルーティー過ぎるカレーもあった。
今でもカレーを食べると、あの日の事を思い出す。
母の話だと、晩年の祖母が作るカレーには必ず味醂が入っていたようだ。
ばあちゃん、あれは一生忘れないカレーだったよ。
私はあれから、「隠し味は隠しておこう」と思った事を守っているよ…。-
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