この前ホームセンターへ買い物に行ったら、子供がキャアキャアって奇声を上げながら、鬼ごっこみたいに走り回ってたの。

長い角材なんかも立てかけてある場所だったから危ないと思って、子供の腕を掴んで「危ないからやめなさい、倒れてくるかも知れないんだよ」って強い口調で注意したのよ。

そしたら、その子の母親らしき人がツカツカ歩いてきて「何なんですか、あなた！　人の子供を捕まえて！」なんて言うの。

ちょっと面食らってたら、その母親は子供を連行するようにさっさと立ち去っちゃった。


でも１分もすると、子供だけが戻ってきて「おばちゃん、ごめんね」って。
あたしがニッコリしながら「はい。」って言ったら、すぐどっか行っちゃったけど。

それに、おばちゃんじゃなくてお姉さんなんだけど。（笑）


あの子は今のまま育っていくのかな。それともあの子のお母さんみたいになっちゃうのかな。

この前、ウチの４歳の子供を近所の神社の縁日に連れて行ったんだよ。

そこに金魚すくいの屋台があったから、子供にやらせてみたんだ。
何とか一匹すくえて、子供は凄く喜んでた。

でも、その一匹をビニール袋に入れて持って帰ろうとすると、嫌がるんだよ。

つれて帰ったら、その金魚が他の金魚のお友達と二度と会えなくなっちゃうかららしい。

いい人が亡くなると「いい人だから神様に早く呼ばれちゃったんだよ」と言い、やんちゃしてた奴が死ぬと「バチが当たったんだ」と言う。

じゃあどちらにしても早く死ぬ人は死ぬってことじゃん？

なんかいい加減というか、テキトーな感じがしちゃうんだよなぁ。

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お葬式というのは、亡くなった方のためのセレモニーではないと聞いたことがあります。

つまり、お葬式は生き残った人たちが「あの人はもういない、戻って来ない」という事実をしっかり受け入れるために行うものだと。

だから一時だけでも、残された人たちの心を納得させるための言葉が必要なんでしょうね。

母親と面接すると「うちの子は頭がよくないので、どうかよろしくお願いします」って言う人がたまにいるんだよね。

親が子供のことを「頭がよくないので」なんて言ってたら、子供が伸びるわけない。

だから言うのはやめなさいって諭すんだけど、あんまり聞き入れてくれないんだ。

だから言い方を変えたよ。
「お宅のお子さんはできる子ですよ。私はそれを知ってます。いつも見てますから」って。

そのせいかどうかは分からないけど、「頭がよくないので」って言う親はだんだん減ってきたみたいだ。

でも俺が言ったセリフは、本当は俺からじゃなくて、親から子供に言ってやって欲しいんだけどねぇ…

マスター。
昨日、俺が世話になった上司が退職したんだよ。

俺が仕事に失敗して自分のふがいなさを痛感してどうしようもなく落ち込んでいた時に、一緒に仕事しないかって誘ってくれた人なんだ。

その上司はすごく斬新でバランスのいい考え方をする人だった。
小手先のテクニックではなくて、もっと根っこの部分で学ぶことがたくさんあった。
お陰で俺は一回りも二回りも大きくなれたと思ってる。

あの人と一緒にやったプロジェクトが終わる時、「また一緒に面白い仕事ができるといいですね」って約束して別れたんだけど、結局果たせずじまいだったよ。

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それは残念でしたね。

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残念…いや、そうでもないな。

その日以来、俺は「いずれまたあの人と一緒に仕事をする時のために」と思って、自分の技術や知識を磨いてきた。

今日までずっと高いモチベーションで仕事をしてこられたのも、それなりに成果を残してこられたのも、あの人との約束が果たされなかったから…かもね。

自分はラッキーな男だと思うよ。

マスター、私の家ってね、７人兄弟の大家族なのよ。
当然、生活は楽じゃなかった。

だから一番上の兄さんや二番目の兄さんは、中学を出てすぐ働いてた。
私や幼い弟達の文房具は、みんな兄さん達に買ってもらったわ。
低学年の頃には学校の送り迎えや、授業参観まで来てくれた。

だから今、私は大学を出て就職できた。
でも・・・申し訳ない気持ちで一杯よ。

兄さん達は４０歳近いのに、いまだに結婚もしていないの。
仕事と私達の世話でそれどころじゃなかったんだろうし、学歴なんかも支障になってるのかもね。

感謝なんて言葉では表せないくらいお世話になった兄さん達に、少しでも恩返ししたい。
自分達の幸せのために、家庭を持たせてあげたい…。

余計なおせっかいかしらね。


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確かに結婚は一つの幸せの形ではありますね。
お兄さん達が家庭を持てるように協力してあげれば、きっと喜ばれるだろうと思います。


ですが、自分たちが支援した妹が大学を出て就職し、社会人として立派に活躍する姿を見るのもまた、幸せの形の一つじゃないでしょうか。

お兄さん達にとっては、あなたが豊かな人生を過ごして幸せな顔をしているのを見ることも、最高に嬉しいことなんじゃないか、という気がします。

胸を張って「兄たちのお陰でここまで来られました」と言ってあげることも、立派な恩返しだと私は思いますよ。


もし良かったら、今度はお兄さん達もこの店へお連れ下さい。
ささやかですけど、ご馳走しますよ。

心から信頼できる友達には、「俺たち親友だよな」って言っちゃいけないと思うんだ。

わざわざ口に出して確かめないと不安なんだとしたら、それはもう親友じゃないと思うから。

「ラークさんへ（Re:Re:ある女性のお客様との話）」
ご来店ありがとうございます。

「ラーク」・・・お吸いになるタバコの銘柄でしょうか。

ラークさんご自身のお話なども、お気軽にどうぞ。

マスター。
今日、ある会社の社長さんに、今後はお宅には発注できないだろうって伝えたんだよ。

随分長い間、よく頑張ってくれた下請けだったのになぁ。
取引を打ち切りたくはなかったよ。

会社の方針だから仕方ない。
上層部が言う理屈も、頭では理解できる。

けどな・・・


努力したら報われるって嘘だよな。
世の中の理不尽な仕組みを目の当たりにすると、改めてそれを痛感するね。

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私どものような店は、そういう理不尽な世の中への愚痴を肴に酒を飲んでいただくために存在しているので、あまり偉そうなことは言えないのですが・・・


ある人材派遣会社の社長さんが「俺は派遣社員やアルバイト君があまりにも酷い扱いを受けているのを見て、自分がもっとまともな職場を作ってやろうと思った」とおっしゃってました。

今起きている嫌な出来事を、明るい未来への種にできるように、強くなりたいですね。

「Re:ある女性のお客様との話」
いつも　お話楽しみにさせて頂いてます　
まさに　人間交差点を感じさせる内容に　マスターの人柄が　わかるような気がします　
これからも　お忙しいでしょうが　お話　お聞かせ下さい　
。