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私の山ある記

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公開 メンバー数:2人

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  • from: orimasaさん

    2010年04月13日 11時33分45秒

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    金峰山の奇跡; ;第一部:登行編(4)

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      金峰山の奇跡; ;第一部:登行編(4)   



    ジグザグのやや急な登りを10分ほどゆくと、大きな看板が立って「富士見平」と記されていた。 
    ハハーン、なるほどここが本来の富士見の地であったか・・、と妙に納得した。 
    ただ、肝心の富士山の展望は唐松林に遮られており、しかも遠方は薄い雲がかかっていて本来の展望は望めなかった。


    一服する間もなく、前進する。 
    飯盛山から派生する小さな尾根のを、ダラダラと登りきると今度は薄暗い樹林帯に突入する。
    栂の木やモミの木の大木が植生して奥秩父らしい太古の原生林を思わせるが、南側の斜面は唐松の明るい林を成していて好対照なのが面白い。 
    境界辺りは混成林となっていて、昔と今がゴチャゴチャになっているのも特徴ある光景であろう。 

    この辺り、身体に負担のない水平路で、所謂、「横八丁」と称しているようである。 


    進むにしたがって、やや急な登りとなる。 
    腰掛の丁度良い倒木があったので一息入れる。
    富士見小屋から、まだ30分も経っていないが急ぐ旅ではない、じっくりと奥秩父の風致を味わいながら。 
    体調も良好なようで、発汗は未だしていないようだ。 
    甘夏ミカンを半分ほど口に頬張ると、酸い味のサワヤカサが身体に広がる。
    因みに小生の場合、山行時に常時携帯している果物では、酸味の強烈なレモンが代表的である。 
    これは発汗時の後で、しかも身体がやや疲れを感じたときにシャブルことにしている。
    あの強烈な酸っぱさが甘く感じるから不思議で、尚且つ、疲れのほうもスーッと消えていくような感触が気に入ってる次第である。


    一服した後、立ち上がろうとした時一人の年配登山者が下りてきた。 
    「今日は、これから金峰ですか」 
    「はい、そうです。 昨夜は泊まりで・・?、小屋ののほうは如何でしたか・・?」 
    「平日だったせいもあり快適でしたよ。 小屋の主人(林さん)とは昔から懇意でね」

    この時期としてはチョッと違和感のあるピッケルを手にし、毛皮の尻当てを付けて身柄も堂々たる岳人といった、いかにも山慣れした風貌である。 
    覗うところ、70歳の御老体らしい。 
    昭和初期の戦前から登山をはじめ、子供たちが巣立った5、6年前から再び八ヶ岳を中心に山歩きを始めたらしい。 
    特にこの金峰山は気に入っているとのこと。 
    弁舌達者な、いかにも精力的な御老人であった。
    「それじゃ、このへんで・・、」 
    「金峰はいい山ですよ・・!、ただ道中は長く、これからですからな・・、気をつけて行ってらっしゃい。」
    若輩の小生を労わるように、目と目でしっかり挨拶を交わし別れた。


    この先の所謂、「縦八丁」という道程に対比して、こちらは上下の高低差が少ない「横八丁」と言われるところで、比較的平安な道筋である。 
    暫くすると木立の間から大きな岩塊が見えてきて、鷹見岩というらしく、次の山小屋である「大日小屋」も近そうである。
    まだ学生らしい若者達のグループが勢いよく下りてきたので、
    「小屋まで、どの位かね」と聞くと、答えるのももどかしいといった感じで
    「すぐ、そこっすよ」とはね返ってきて、ダダダーっと、あっという間に通り過ぎていった。



    奥秩父・大日小屋


    ほの暗いトンネルのような樹林帯を抜けて、急に日が指したような明るく開けたとこに出た。 山道より右手下部に遠慮がちに「大日小屋」が横たわっていた。 
    小屋の前に今にも朽ちそうなベンチがあって、そこに如何にも山岳部らしいパーティが食事をとりながら談笑している。

    すぐ横に腰を落ち着けながら・・、

    「どちら・・?」と軽く声をかける。 
    「ハイ、東京の慶応高校山岳部です」と、透き通るような返事が返ったきた。 

    軽い朝食の後、小用のため小屋へ向かって重い引戸を開けると、中は広い土間と今は薄暗い畳の大部屋が見渡せた。 
    無論、客人は一人もなく部屋はきれいに清掃されてあった。 
    左端に管理人用の小部屋があり、一仕事終えたのであろう、中ほどのテーブルで一息入れているようである。 

    小用の後、お礼の挨拶を交わすと、
    「よかったら温ったかいお茶でも入れるよ」、小生が単独であるのに気がついていて、一声かけてくれたのだろう。 
    急ぐ旅でもなし「それじゃお言葉に甘えて・・、」と、縁ふちに腰を下ろした。

    秩父の山の様子や開拓史を興味深く覗いながら、一時を過ごす。
    話によれば、先刻までこの小屋の手前に一回り小さい山小屋があって、奥秩父のパイオニアといわれる、小暮理太郎や田部重治などが盛んに利用したとのこと。
    話の最中、どこからともなく「チュウ、チュウ」との音が聞こえてくる。 チュウ公が餌をねだっているようでもある。 

    「ネズミのようですね」、
    「こんな生活していると、ネズミも憎めないのよ」、とアッケラカンとしている。 
    何やら身につまされた。

    続く





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