12月22日（日）11時32分配信 チャートブック（株探ニュース）

「外国人投資家のピンポイントの買いが続く東京市場」

●「失われた20年」を飛び越す株価

　12月の米FOMCミーティングでテーパリング(資産買い入れ規模の縮小)が実施されることとなった。「早くて来年」と見られていたビッグイベントが一気に前倒しで実施されて、マーケットは完全に意表を突かれた格好となった。NYダウ工業株30種は3週間ぶりに新高値を取った。2013年は最後までアメリカの年であり、バーナンキ議長の年であった。

　日経平均株価も年初来高値をさっそく更新して、年内の1万6000円乗せがいよいよ現実味を帯びてきた。日本とアメリカの株価は日々の値動きの中では、今や素直に連動して動くような関係ではなくなっているが、さすがにこれほどの動きとなると刺激材料としては最大級で、世界中で一気に年末に向けて「リスクオン」のスイッチが入った。

　その日本のマーケットでは設備投資関連、機械セクターの動きが特に目立っている。上場来高値を更新する銘柄が相次いでおり、ファナック <6954> はいち早く水曜日から高値更新に進んだが、それを追いかける形でオムロン <6645> 、ＳＭＣ <6273> 、デンソー <6902> も上場来高値を取ってきた。ダイキン <6367> もその間近に控えている。

　簡単に「上場来高値を取る」と言ってはいけない。リーマンショックと東日本大震災を乗り越えて、さらに「失われた20年」を飛び越えての最高値である。今週は月曜日に12月調査の日銀短観が発表されたが、そこでは大企業製造業の業況判断DIが16まで上昇すると同時に、中小企業の景況感が着実に上向いていることが鮮明化した。

●外国人買いが続く企業に照準

　中小企業の業況判断DIは20年ぶりにプラスに浮上している。円高になれば大企業製造業は大規模な生産拠点の海外移転を図ったり、為替予約を組んだりして、さまざまに手を打つことができるが、中小企業はそこまで機動的には動けない。内需企業の多くは中小企業であり、国内から逃げ出すことがなかなか難しい。その部分の景況感が着実に上向いていることが明らかになっている。

　大企業の業況判断DIも先行きに対する見方が相変わらず弱い点が気にされていたが、来年4月には消費税の引き上げが待っており、臨時国会終盤の様子を見ればアベノミクスの成長戦略も定かではない。円安で一息ついた今は、輸入物価の値上がりが心配である。テーパリングを開始したばかりのアメリカ経済の状況も予断を許さない。そのような状況で、先行きに対して慎重なスタンスを取るのはごく自然のことである。

　グローバル化経済がここまで進展した今、企業を取り巻く経営環境がピーカンの青空のようにクリアになることはもはや永遠にない。だからこそ、企業は自衛本能を働かせて損益分岐点を下げ、販路を広げて経営効率を高め、世界的な高シェアを確保するように努めてきた。その成果がいくつかの銘柄の上場来高値につながっているのだと思う。

　そのような企業は軒並み外国人投資家の持ち株比率が上昇している。最近発売されたばかりの「日経会社情報」「会社四季報」の紙面上にその事実がはっきりと現れている。

　来たる2014年に向けて外国人投資家の買いが継続していると見られる銘柄に的を絞るべきである。その観点からＴＤＫ <6762> 、ナブテスコ <6268> 、ＴＨＫ <6481> 、アステラス <4503> 、オリックス <8591> に注目している。

(「チャートブック週足集」No.1954より転載)
(「株探」編集部)