毎日新聞　2014年11月14日　19時47分

　日本郵政が１４日発表した２０１４年９月中間連結決算は売上高に当たる経常収益が前年同期比５．７％減の７兆１０５６億円、最終（当期）利益が同１．２％減の２１７１億円の減収減益だった。傘下のかんぽ生命保険の契約減による保険料収入の減少や日本郵便で人件費などのコストが増えたことが要因だ。日本郵政は来秋の株式上場を目指しているが、投資家が魅力を感じるような成長路線を打ち出せていないのが現状だ。

　最大の課題は日本郵便だ。通販需要の拡大などで「ゆうパック」が同１４．４％増の２．３億個、「ゆうメール」が同５．７％増の１５．９億個と取り扱いが増えて２期連続の増収となったが、コスト増を吸収する手立てが打ち出せておらず、最終損益は３８６億円の赤字だった。

　通期でも２６０億円の最終赤字を見込む。記者会見した日本郵政の市倉昇常務は「損失という状況を投資家が歓迎するわけはないので収益拡大と効率化で目に見える形で改善することが必要」との認識を示した。

　
　稼ぎ頭の金融２社にも課題はある。かんぽ生命保険も今年４月から発売を始めた新学資保険「はじめのかんぽ」が好調なものの、０７年の郵政民営化前に扱っていた簡易生命保険の契約者減をまかなえるほどの規模ではなく減収となった。

　ゆうちょ銀行は、外国証券の運用割合を増やすなど収益源の多様化に取り組んだことで本業のもうけを示す業務純益は同１６．３％増の２５６２億円となった。

　しかし、１０００万円の貯金限度額などが足かせとなっていることもあり、実質的な貯金残高はほぼ横ばいで、資金収支の改善には力強さはないままだ。【横山三加子】