占有回収の訴え

　　　　　要件

　占有を侵害されて占有を喪失した場合

　　　　　請求内容

　目的物返還および損害賠償

　　　　　提訴権者

　物の占有権者

　　　　　占有訴権の相手方

　現に物を所持する者（ただし占有侵奪者の善意の特定承継人は除く）

占有保全の訴え

　　　　　　要件

　占有が妨害されるおそれがある場合

　　　　　　請求内容

　妨害予防または損害賠償の担保

　　　　　　提訴権者

　物の占有権者

　　　　　　占有訴権の相手方

　現に事実的支配を妨害するおそれのある者

　　　　　　　占有訴権の訴え

　　　　　　　　要件

　占有侵害があるが、占有を喪失していない場合

　　　　　　　請求内容

　妨害停止または損害賠償

　　　　　　　提訴権者

　物の占有権者

　　　　　　　占有訴権の相手方

　現に事実的支配を妨害している者

効果

　占有者はその動産について権利を取得する（承継取得ではなく、原始取得である）。

⑤　占有を取得すること

　該当例　現実の引渡、簡易の引渡し、指図による占有移転（最判Ｓ５７・９・７）

　非該当例　　占有改定（最判Ｓ３５・２・１１）

④　占有取得が平穏、公然、善意、無過失になされたこと

③　無権利者または無権限者からの取得であること

　該当例　前主が賃借人、受寄者、盗人
　非該当例　前主が制限行為能力者、錯誤者、瑕疵ある意思表示者、無権代理人

②　有効な取引行為によって占有を取得したこと

　該当例　　売買、質権設定、競売による落札（最判Ｓ４２・５・３０）

　非該当例　　遺失物の拾得、山林の伐採による伐木取得（大判Ｓ７・５・１８）

　　　　即時取得

①　　目的物が動産であること

　　該当例

・　登録を抹消された自動車（最判Ｓ４５・１２・４）

　　非該当例

・　登録自動車（最判Ｓ６２・４・２４）

　　　　　　　　第３者

　　　　第３者に該当する者

・　賃借人（大判Ｔ４・４・２７）

　　　　第３者に該当しない者

・　無権利者、不法占拠者、受寄者（最判Ｓ２９・８・３１）