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from: yumiさん
2011年07月31日 14時07分14秒
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「ダークネス・ゲーム」
〜第十一章〜・44・
時間を少し戻して、昌獅(まさし)と電話を終えた智里(ちさと)は携帯を一睨みして、勇真(ゆうま)と向き合う。
「と言う事です。」
「そうか、今回も大変だね。」
「ええ、それにしても本当にお姉ちゃんは抜けていて困るわ。」
「友梨(ゆうり)ちゃんは結構しっかりしていると思うけどな。」
「あら、何処がかしら?」
冷たいまるで氷のような冷たさで睨む智里に勇真は苦笑する。
「結構人を見る目も有るし、仲間思いの良い子だよ。」
「勇真さんからしたらそうでしょうが、わたしにしたら、重要な部分でどこか抜けている危なっかしい姉です。」
「…手厳しいね。」
「当然の考えです。」
勇真は肩を竦め、智里の目をしっかりと見る。
「どうして、そこまで友梨ちゃんの事を悪く言うのかな?」
「言わないと気づかないあの姉が悪いんです、わたしだって言いたくないわ。」
「……。」
智里の言葉に勇真は本当に彼女が姉妹思いの良い子だと思った。
「本当に家族思いなんだね。」
「そうでもないです。」
「十分家族思いだよ。」
「……勇真さんって本当に……。」
智里は軽く溜息を吐いた。
「何かな?智里ちゃん?」
「別に、何でもありません。」
智里はそう言うと、突然眼を鋭くさせた。
「お姉ちゃんたちばかりに任せておいたならば、間違いなく文句を言ってくるに決まっていますから、わたしたちもさっさと動きましょう。」
「そうだね、でも、何処から。」
「仮説ですが。」
前置きしてから智里は話し出す。
「今回の珠の数は七つ、つまり、色は、赤、橙、黄色、緑、青、藍、紫の七つでしょうね。」
「そうだね。」
「そこで、この色に関連するものはないかと思いましたら、あからさまですが、一つだけ見つけました。」
「……。」
勇真は園内のマップを広げ、智里の言いたいものを探した。
「ここです。」
「なるほど、確かに智里ちゃんが言うようにまんまだね。」
「ええ。」
智里が指差し場所にはこう書いてあった。
「『インディゴ・スプラッシュ』。」
「あの変態の事だから一つは分かりやすい所に隠していそうですから。」
「確かに……。」
「後は法則性があると思いますので、そこら辺はお姉ちゃんが電話をしてきた時に、お話しすればいいですね。」
「そうだね。」
頷く勇真は現在地とインディゴ・スプラッシュというアトラクションの距離を考える。
「思ったより近いようだね。」
「そうでしょうね、始めからそちらに向かっていたんですから。」
「……。」
「勇真さんは本当に気付いていなかったのですか?」
「……。」
勇真は智里の言葉に苦笑いを浮かべた。
何となくだが怪しいと思っていたが、智里のように深くは考えていなかったのだ。
もし、その事を口にすれば智里が呆れるような気がして、勇真は苦笑いを浮かべ続けた。
あとがき:智里は勇真と一緒にいるのはある意味自然で、一番当たっても平気なペアですよね〜。
明日からまた講座なので頑張らないといけませんね。取り敢えずワードをマスターしてしまいたいですね。icon
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from: yumiさん
2011年07月30日 10時39分05秒
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「ダークネス・ゲーム」
〜第十一章〜・43・
しばらく友梨(ゆうり)と涼太(りょうた)が走っていると、城の出口に二人分の影が見え、二人は緊張する。
「…友梨か?」
「えっ、昌獅(まさし)?」
逆光で顔は分からないが、その声を友梨が聞き間違えるはずがなかった。
「遅かったな。」
「しかたないでしょ、二十階もあるんだもの!」
「はいはい。」
昌獅の投げやりな言葉に友梨は青筋を浮かべた。
「リョウくん、お疲れ様〜。」
「美波(みなみ)、昌獅に虐められなかったか?」
涼太の言葉に友梨と昌獅が同時に反応する。
「おい、涼太!」
「そうよ、美波、大丈夫だった?」
「おい!」
あまりの言われように昌獅は憤慨する。
「お前らは一体どんな目で俺を見ているんだ。」
「友梨先輩馬鹿。」
「周りが見えない猪。」
「……。」
昌獅の口の端が怒りの所為でピクピクと動く。
「昌獅、本当に八つ当たりしてないって言えるの?」
「……。」
昌獅は図星を指され、気まずげに顔を逸らした。
「ほら!」
昌獅の行動を見抜く勝ち誇ったような顔をする。
「分かり安すぎだな。」
「うるせぇ。」
呆れた顔をする涼太に昌獅は怒鳴った。
「図星を指されて逆切れするなんてダサいぜ。」
「てめぇだって、好きな女を手に入れられ―ー。」
昌獅が怒鳴ろうとした瞬間、容赦なく彼の無防備だった腹に見事な肘鉄が入った。
「ぐっ……ゆ、友梨?」
しゃがみ込んだ昌獅は急に肘鉄をかました少女を恨みがましく見上げた。
「昌獅。」
低い声音に昌獅肩がビクリと揺れた。
「涼太くんは涼太くんで頑張っているのに、そんな言い方があると思うの?」
「……。」
「昌獅だって、私が鈍かったら永遠に「お友だち」だったのよ!」
「……。」
友梨の言葉に昌獅と涼太は納得してしまった。
もし、友梨が美波並みに鈍かったのならば間違いなく昌獅は友梨と付き合っていないだろう、それはただ単に運が良かっただけで、友梨は自分の恋愛に関してはかなり鈍い部分が合ったのだ。
今回は幸いにも勇真(ゆうま)に憧れの念を持っていた御陰と命を懸けたゲームの御陰で、自分の気持ちに気付けたのだ。
もし、それがなければ友梨は間違いなく昌獅と付き合っておらず、下手をすれば邪険にしていたかもしれない。
そんな最悪な事態を避ける事が出来た昌獅は本当に幸運だった。
「友梨先輩。」
「何?涼太くん。」
「智里(ちさと)先輩に連絡を取ったほうがいいんじゃないですか?」
「……。」
「……そういや、忘れてた。」
涼太の言葉に友梨は沈黙し、昌獅は智里の伝言をすっかり忘れていたので、サッと顔を青くさせた。
「お前の妹が電話しろって……。」
「何でさっさと言わないのよ!!」
友梨の絶叫が園内に響いた。
あとがき:いっつも思いますが、昌獅は本当に相手が友梨ちゃんでよかったね、と思います。
本日はバイトを休ませてもらえました。ちょっとした私用があったもので、そしたら、明日も休みなので連続で載せられそうです。icon
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from: yumiさん
2011年07月24日 15時26分30秒
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「ダークネス・ゲーム」
〜第十一章〜・42・
「何これ?」
涼太(りょうた)は友梨(ゆうり)の言葉に首を傾げた。
「どうしたんですか?」
固まる友梨に涼太は話しかける。
「…『君達は本当に良くやっているね。』。」
唐突に言葉を紡ぎだす友梨に涼太は怪訝に思い、彼女の手にある紙を覗き込む。
「……。」
友梨の言葉を聞きながら、その文を読んでいく涼太の顔は段々険しいものになった。
「何なんだよこれ。」
全て読みきった涼太は吐き捨てるかのように言った。
「そんなの破っちまえって言いたいけど、智里(ちさと)先輩が許すはずないでしょうね。」
「ええ、そんな事をすれば、ばらばらな紙でジグソーパズルをしろって言うに決まっているわよ。」
「言いそうですね。」
智里の性格を理解している友梨と、理解し始めている涼太の意見は同じだった。
「それにしても、最悪。」
「ですね。」
二人は同時に溜息を漏らし、もう一度紙を眺めた。
《君達は本当によくやっているね。
そこで今回は重要なヒントをあげよう。
今回の『鍵』は見たとおり野球ボールくらいの大きさの珠だ。
その内の一つは高い場所に隠しある。
全てを教えては面白くないのでこれが最後のヒントだ。
一つは橋の裏だ。
それと今回は、制限時間はないよ。
それでは、健闘を祈る。》
「橋の裏って言ってもこの遊園地に橋は何個もあるのに!!」
「そうですね。」
「…それにしても、高い所って…、煙と馬鹿は高い所が好きだったけ?」
「…友梨先輩も言うようになりましたね。」
涼太は力なく苦笑を浮かべた。
「はぁ…、今回は不幸中の幸いか制限時間はないようね。」
「それでも、早く終わった方が良いでしょうね。」
「そうよね…、あの変態なら時間を掛けたら自分の首を閉めるような罠を張っていそうだもんね。」
「ええ。」
涼太はこれから起こるであろう災難を予想し、肩を落とす。
「何か罠にかかりそうなのが、オレか、友梨先輩か、昌獅(まさし)のような気がするのはオレの気のせいかな?」
「ううん、残念ながら私も嫌な予感がする。」
二人の勘はあまり外れない、だから、二人はこれから起こるであろう未来を呪いたくなった。
「何か智里に被害が少ないのは私の気のせいかな?」
「いいえ、実際オレたちに比べたら少ない気がします。」
「…だよね。」
実の妹に被害がなくて姉としては嬉しいが、それでも、どこか理不尽のようで友梨一個人としてでは面白くなかった。
「まあ、勇真(ゆうま)さんも被害は少ないけど……。」
「智里先輩のストッパーになってきてますから、五分でしょう。」
「だよね。」
最近は智里の相手をしてくれる勇真に友梨は始め以上に尊敬の念を抱き始めていた。
「美波(みなみ)…は微妙ね。」
「ええ、はじめの内美波は大変な目にあっていましたから。」
「それにしても、どうして私や昌獅、涼太くんばっかりなんだろう。」
「…性格上の問題でしょうか?」
涼太の言葉に納得しながら友梨は遠い目をした。
「本当にこの性格恨みたくなるわ。」
「ですね。」
二人は同時に溜息を吐き、再び走り出したのだった。
あとがき:不幸な三人はかなり出番があるんですが、それに比例するようにつらい目に遭っています…。
今日もバイトが終わったので載せました。今週(?)も土・日に載せれると思います。icon
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from: yumiさん
2011年07月23日 14時30分50秒
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「ダークネス・ゲーム」
〜第十一章〜・41・
「涼太(りょうた)くん!」
「友梨(ゆうり)先輩。」
上の階から声をかけてきた友梨に涼太は自然と笑みを浮かべたのだった。
「ごめんね遅くなって。」
「いえ、十分早かったですよ。」
「……本当に涼太くんは良い子ね。」
友梨は涼太の頭を軽く撫で、涼太は突然の行為に体を強張らせた。
「ゆ、友梨先輩?」
「あ、ごめん、嫌だったよね?」
「い、いえ……。」
正直子ども扱いされているようであまり嬉しくないが、友梨の優しげな瞳を見ていたら文句の言葉が引っ込んでしまった。
「何かついやっちゃうのよね。」
「そうなんですか?」
「うん、ほら、私たちの中で私が長女でしかも、身長も一番高いから、つい頭を撫でてしまう癖があるのよ。」
「そういうもの何ですか?」
「う〜ん、私たちの場合特殊かもしれないけど。」
友梨は顎に手を当て自分の周りにいる兄弟たちの行動を考えてみると、自分だけがやっているように思われた。
「…多分身長差があるからだと思うけど。」
「そうですか。」
「うん、ほら、私だってよく昌獅(まさし)に頭撫でられたりするし、一番重要なのは身長差ね。」
「……。」
涼太は友梨の言葉に軽くショックを受けた。
「やっぱり…牛乳の量を増やした方が良いんだろうか?」
「えっ?何か言った涼太くん?」
「いいえ、何でもありません。」
友梨はまだ何か言いたそうな顔をしているが、涼太が言いたくなさそうだから、彼女は自分から折れたのだった。
「それじゃ、行きましょう、昌獅がキレながら待っているでしょうから。」
「……ありえるわね。」
自分の帰りを待つ間美波(みなみ)に八つ当たりしてないか友梨は思わず心配になってしまった。
「それじゃ、行きましょうか。」
友梨は階段を下って行き、少し遅れて涼太も出発する。
「言えるわけありませんよ、身長が小さいのがショックなんて……。」
暗い顔でそう呟く涼太の言葉は幸いにも友梨の耳には届かなかった。
「そう言えば、友梨先輩。」
「何?」
「先ほど言っていた紙の内容読んだんですか?」
「あっ、忘れてた。」
嫌なものほど早く忘れる友梨は手に握っていたそれを見下ろした。
「読んでみた方がいいよね。」
「そりゃ…そうですよ。まあ、読みたくない理由も分かりますが。」
「……はぁ…、絶対智里(ちさと)文句言うもんね…。」
この紙に書かれている事が重要な事ならば、無視は出来ないだろう。それにあの変態がこんな紙を置いといて何もないと言う事はまずないだろう。
「なんならオレが見ましょうか?」
渋る友梨に涼太が申し出た。
「…ううん、大丈夫よ。」
年長である意地からか、友梨は涼太の申し出を断り、意を決して紙を見た。
「何これ?」
素っ頓狂な声がその場に響いた。
あとがき:さてさて、友梨ちゃんが見た中身は一体なんだったでしょうね。それにしても、ダークネスかなり載せていますね〜。
早く載せていきたいものですね。
本日はバイトだったんですが、早く終わったのでこうして載せています。icon
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from: yumiさん
2011年07月20日 14時35分35秒
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「ダークネス・ゲーム」
〜第十一章〜・40・
『……見つけた。』
唐突な友梨(ゆうり)の言葉に昌獅(まさし)は眉間に皺を寄せた。
「何を……?」
『鍵はどうやら玉のような珠、数は七つ。』
内容を理解した昌獅は息を吐いた。
「そうか、高田(たかだ)妹たちには俺から知らせる、だから――。」
『うん、涼太(りょうた)くんには私から知らせるわ。』
「分かった、知らせ終わったらこっちから電話しなおす。」
『うん、ありがとう。』
「それじゃな。」
『後で。』
電話が切れ、昌獅は名残惜しそうに携帯を見ていたが、すぐに近くにいた友梨の妹の美波(みなみ)に話しかける。
「おい。」
「ふえっ!」
急に離しかけられたことに驚いた美波は素っ頓狂な声を出した。
「友梨が、お前の姉が鍵穴を見つけたようだ。」
「友梨お姉ちゃんが?」
「ああ、鍵はどうやら球体のものだと…そういや…大きさは聞いてなかったな…今電話してもあいつまだ涼太(りょうた)に掛けているだろうしな…。」
昌獅は大事な事を話さなかった友梨と、それに今まで気付かなかった自分に呆れた。
「しゃーねーな、後で聞くとして……ああ、珠はどうやら七つらしい。」
「そうなんですか?」
「ああ、後で友梨に確認してくれ。」
「……。」
昌獅は取り敢えず、美波に言うだけ言ったと思い、友梨のもう一人の妹である智里(ちさと)に電話をする事にした。
「……。」
しばらくの間は本当に死刑宣告のように、心臓が異様に早かったが、表に出していない御陰が美波には気付かれなかった。
『何かしら?』
低い声音に昌獅の口角が引き攣る。
「友梨からの伝言だ。」
『ふ〜ん、わたしより先に貴方にかけたのね…良かったわね。』
智里の言葉に昌獅の背筋が凍りついた。
「……「鍵はどうやら玉のような珠、数は七つ。」だと。」
『そう、大きさは?』
「……知らねぇ。」
電話の向こうで舌打ちの音が聞こえた気がしたが、昌獅はそれを無理矢理幻聴だと思い込んだ。
「あいつ大変みたいだったからな。」
『へ〜…暢気にお話なんかしていたのね。』
「……。」
これ以上何も言わない方が良いような気がしたので、昌獅はさっさと切る事を決意する。
「伝言はそれだけだ、俺は友梨を迎えに行く。」
『分かったわ、どういう大きさか確認できたのなら、お姉ちゃんに連絡をするように言ってくださいね。』
「分かった、一応は伝えとく。」
『絶対ですからね。』
「……分かった。」
念を押す智里に昌獅はどっと疲れた気がした。
「まだ、先は長いというのに、何でこんなに疲れないといけないんだよ。」
眉間に皺を寄せ、昌獅は溜息を一つ吐く。
「…友梨…さっさと会いてぇ。」
さっき声を聞いたばかりだというのに、早く逢いたいと思う。
それはあの魔王と対峙したからか余計にそう感じているのであった。
あとがき:本日は講座が台風の為休講でした。
何というタイミングか分かりませんが、本日は涼太くんの誕生日です!涼太くんおめでとう!!icon
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from: yumiさん
2011年07月18日 14時32分34秒
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「ダークネス・ゲーム」
〜第十一章〜・39・
「昌獅(まさし)。」
硬い声音の友梨(ゆうり)に何か感じたのか、昌獅も硬い声を出し彼女に返事する。
『どうかしたのか?友梨。』
「……見つけた。」
『何を……?』
「鍵はどうやら玉のような珠、数は七つ。」
友梨の言葉に昌獅は息を吐く。
『そうか、高田(たかだ)妹たちには俺から知らせる、だから――。』
「うん、涼太(りょうた)くんには私から知らせるわ。」
『分かった、知らせ終わったらこっちから電話しなおす。』
「うん、ありがとう。」
『それじゃな。』
「後で。」
名残惜しそうに二人は電話を切るが、次の動作はかなり速かった。
友梨は涼太の番号にあわせ、彼が取るまでの間何もないか確認した。
「……これ。」
一枚の紙を拾い上げた瞬間通じた。
『友梨先輩?』
「あっ、涼太くん。」
『どうしたんですか、まさか、何か。』
「う〜ん、あった事はあったんだけど、それよりもどうやら鍵は珠で数は七つのようよ。」
『……先に着いたんですね。』
「うん、涼太くんは何階?」
『十五です。』
「かなり上がったわね。」
友梨はこんな短時間でよくそこまで上がれたのだと感心した。
『友梨先輩はどうやって降りるんですか?』
「うん、エレベーターは故障…じゃないわね、意図的に止められたから階段で降りるつもりよ。」
『そうですか。』
「一応昌獅が智里(ちさと)たちに知らせてくれるようだから、まず私たちが合流してその後で、美波(みなみ)たちと合流しましょ。」
『それがいいですね。』
肯定する涼太に友梨はふと手に持っている紙を思い出した。
「そういえば、さっき紙を見つけたの。」
『紙ですか?』
「ええ、まだ中身を見ていないけど、あまりよくないものでしょうね。」
『そうでしょうね、あの変態の用意したものだからいいものではないに決まっています。』
「それじゃ、すぐ行くから待っていてね。」
『はい。』
友梨は電話を切り、駆け出した。
「今回のものは一体何処にあるのかしら?」
友梨は眉間に皺を寄せながら、全速力で階段のある場所まで走っていった。
「それにしても、次ここに来る時は階段で上がる事になるのよね…、涼太くんや昌獅、勇真(ゆうま)さんなら、多分大丈夫だと思うけど……。」
残りの自分を含めた姉妹が階段を駆け上る事が出来るのかと考え、さらに深く眉間に皺を寄せた。
「かなり厳しいよね……。」
友梨自身体力には自信が無い、その上、間違いなく疲弊しきっているというのに階段を上るなんて無謀に近いような気がした。
「…でも、やらないといけないのよね…本当にヤダな…。」
友梨は走りながら大きく溜息を吐いたのだった。
あとがき:友梨ちゃんたちの話はなかなか終りませんね〜、というか、やっと今回のゲームのヒントを貰っていますし…、かなりながくなりますね。
本日はバイトがあったんですが、かなり早く終わる事ができ、こうして載せさせてもらっています。
どなたかリクエストがあれば本当に出していただけたらありがたいです!icon
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2011年07月13日 14時31分17秒
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「ダークネス・ゲーム」
〜第十一章〜・38・
「…ははは…迷った。」
乾いた笑いを浮かべる友梨(ゆうり)は迷子になっていた。
「う〜ん、やっぱりあそこを右に行った方が良かったかな…でも、下手にやると迷子にって…もう!何で案内板が無いのよ!!」
文句を言う友梨だったが、彼女は運が良いのか実は最短ルートで目的地に向かっていた。しかし、その事を友梨が知るはずもなかった。
「もういい!勘でいってやる!!」
もし、智里(ちさと)がその台詞を聞いていたならば、「お姉ちゃんの勘はあてにならないのに」と貶して、昌獅が聞いていたならば呆れ顔をしていただろうが、幸いにもここには誰もいなかった。
「それにしても、智里からの連絡が来ないわね。」
友梨は圏外になっているのではないかと思い、携帯を取り出してアンテナを見るが、三本とも立っていた。
「……うむ〜、智里に連絡すれば間違いなく「遅い」とか言いそうだしな、見つかってもない事だし、智里に連絡するのは後にしよ。」
智里に連絡しないという事で、必然的に側にいる勇真(ゆうま)も除外され、今頑張って駆け上っているだろう涼太(りょうた)にも迷惑を掛けたくなかったので、友梨は彼も避けた。
「……まっ、いっか。」
友梨は昌獅(まさし)ならば電話してもいいかと思い、電話を掛ける。
『…何か遭ったのか?』
「…不機嫌そうな声出さないでよね。」
電話が繋がった瞬間低い声を聞き、友梨は苦笑する。
「そんなに不機嫌な声出してるって事は、美波(みなみ)に当たっ
たの?」
『……。』
昌獅の無言は肯定の意味をしていると察した友梨は溜息を一つ吐く。
「もう、私の妹に当たらないでよね。」
『…お前が悪いんだろうが。』
「どこがよ。」
『ふんっ!』
鼻を鳴らす昌獅に友梨は走っているというのに器用に肩を竦めた。
「ねえ。」
『何だよ。』
「さっき城のエレベーターに乗ったの。」
『なっ!』
明らかに何か罠がありそうなモノに乗ったという友梨に昌獅は電話の向こうで驚愕しているようだった。
「そんなに驚く事ないじゃない。」
『お前…一人なのか?』
「うん、涼太くんには階段で上に上がってもらっているから。」
『お前な。』
「しょうがないでしょ、階段を一気に駆け上ったって記憶で良いものないんだもの。」
『そうかもしれないが。』
昌獅もあのビルの事件を思い出し、苦い顔をしているのだが、電話の向こうの友梨には伝わらない。
「まぁ、過ぎた事だし、とやかく言わないで。」
『……で?』
昌獅はこれ以上煩く言っても友梨の事だから何も言わないと思い、話を促す。
「うん、この城って二十階ぐらいなんだけど、十九階で止まって、それでよじ登ってから今最上階にいるわ。」
『……はっ!よじ登って!!』
驚きで声が大きくなる昌獅に友梨は耳が痛くなった。
「もう、急に大きな声出さないで!!」
『――っ!悪い。』
向こうも友梨の大きな声に耳が痛くなったのか、本当にすまなそうな声を出す。
「分かったんなら、よろしい。」
『何様だよ。』
「何様でも良いでしょ?」
『…はぁ…。』
昌獅が溜息を吐いた瞬間、友梨は目的の場所を視界に入れた。
あとがき:何か、最近本編とは全く違うものしか書いていませんが…。
日曜日にバイトで店舗に入り、本当に迷惑をかけまくったような気がするし、ちょっと落ち込み気味です…。もっと自分に自信を持たないといけないんでしょうけど…。今の私は無理ですね。icon
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2011年07月09日 15時40分36秒
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「ダークネス・ゲーム」
〜第十一章〜・37・
不幸か幸いか直ぐにエレベーターを見つけた友梨(ゆうり)は涼太(りょうた)と分かれたのだった。
「さて、何が出るかしらね。」
硬い表情をする友梨はすぐさまエレベーターに乗り込み、最上階を目指す。
余談だが、友梨は実はエレベーターが大っ嫌いだった。
上に上がる瞬間や下に落ちる瞬間が本当に嫌いで、この時もその衝撃を耐えるために硬く目を瞑っていた。
そして、今回それの癖が幸いした。
「――っ!」
視覚を閉ざした御陰で、他の感覚が敏感になり、急に感じた感覚に友梨は反射的に床にしゃがみ込み震動を逃したのだった。
「な、何?」
友梨は辺りを見渡し自分の置かれている現状を把握しようとした。
友梨ははじめ電気が落とされたのかと思った、しかし、よくよく見ればエレベーターの表示は消えていなかった。
目的の階は二十階だったが、現在は惜しい事に十九階だった。
「まあ、こんなに不自然に止まると言う事はあの変態の罠に決まっているわね。」
友梨は周りを見渡すが、残念ながら出口はなさそうだった。
否一つだけあるのだが、友梨はその出口をあえて見なかった。
しかし、いつまでも無視する事も出来ないと理解している友梨は溜息と共に顔を上げた。
「やっぱり、ここになるのよね。」
眉間に皺を寄せ、友梨は背に背負っていた柄の長い箒を下ろした。
「人生何が起こるかは分からない。」
溜息と共に、友梨は箒を構えた。
「んじゃ、いきますか!?」
友梨は勢いよく箒を突き上げ、エレベータの上の蓋を外した。
「よしっ!」
友梨は蓋をずらし、自分の手が掛けられる隙間を作った。
箒を背中にくくり、友梨は勢いよく跳んだ。
「――っ!」
淵に手を掛けずれた蓋に向かって勢いをつけ蹴り飛ばし、友梨はするりとエレベータの箱の上に立った。
「はぁ…、これって素手で触れたらやばいかな?」
友梨はエレベーターについている黒い綱みたいなものを見て、溜息を吐いた。
「……なんか踊らされている気がする…。」
友梨は眉間に皺を寄せながら懐に入っているあるものを取り出す。
それは今回出かける前に智里(ちさと)が友梨に渡してきたものだった。
「…いや、踊らされているのか…。」
友梨は智里が渡してきたもの、絶縁体のグローブをつけた。
「本当に、あの子は…用意が…良すぎるのよ!」
必死になってよじ登る友梨は半分ほど登ってかなり息を切らせていた。
「…涼太くんも大変だよね…。」
綱登りをする自分もかなり大変だと思うが、二十階分も上らなくてはならない涼太に友梨は同情した。
「それにしても…、このエレベーター二回目は使えないわね。」
友梨はようやく登りきり、二十階のドアをどう開けるか思案しようとしたが、その心配はなさそうだった。
何故か大きく扉が開いており、まるで、友梨がこっから中に入るのを見越しているようで、眉間に皺を寄せた。
「本当に智里も変態もどっちも狸ね。」
友梨は勢いをつけ、難なくと着地を決め込む。
「さ〜て、私の方が早いわよね。」
友梨は辺りに敵がいないかを確認し、そのまま勘で進んで行った。
あとがき:案の定一昨日と昨日は泣いてしまいました。おじいちゃんがまるで、眠っているようで、声をかければふっと目をあけるような気がして、本当に涙が流れてしまいました。
友梨だったら、どんな事をするのかと終わった後そんな事を思い、いつか書いてみたいと思います。(載せるかは分かりませんが)。icon
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from: yumiさん
2011年07月06日 11時25分01秒
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「ダークネス・ゲーム」
〜第十一章〜・36・
「……どうしたんですか?友梨(ゆうり)先輩。」
「……ん。」
唐突に立ち止まった友梨を不思議に思った涼太(りょうた)は彼女に話しかけた。
「何でもないのよ、ただ……。」
「ただ?」
「あの馬鹿が美波(みなみ)に当たっているような気がしただけ。」
「……。」
あの心の狭い昌獅(まさし)ならやりかねないと思い、涼太はこっそりと溜息を吐いた。
「本当に、あの馬鹿…絶対後でとっちめないと。」
「程ほどにしてくださいね、昌獅が拗ねたらそれはそれで面倒ですから。」
「そうね。」
友梨は涼太の言葉に肯定の言葉を言うのだが、その目は決して笑っていない。
「取り敢えず、このステージが終わったらとっちめるから安心してちょうだい。」
「…程ほどに、使い物にならなければ、智里(ちさと)先輩が怒りますから。」
「……分かってるわ。」
クスクスと笑う友梨は「本当に智里先輩と血が繋がっているのだな〜」と暢気な事を涼太は思っていた。
「それにしても、あの馬鹿人の妹に八つ当たりしなくてもいいじゃない!」
「……。」
涼太は昌獅が美波に八つ当たりしているとは限らないと思いながらも、最近特に友梨に執着するようになったマサシならばやりかねないと思い、溜息を一つ零した。
「友梨先輩、そろそろ着きますよ。」
「あっ!ごめん。」
友梨は自分があまり前を見ていない事に気付き、今更ながらかなり近付いた城の大きさに目を見張った。
「これ、エレベーターとかあるのかな?」
「あっても、何か罠がありそうですけど。」
「だよね…。」
またひたすらに階段を上らないといけないのかと、友梨はげんなりした。
「仕方ないですよ、オレだって正直体力温存のために楽したいですけど、時間は無駄に出来ませんから。」
「うん、そうよね。」
「それとも、二手に分かれますか?」
「……。」
涼太の言葉に友梨は軽く瞠目した。
「えっ?」
「実際どっちが早く着くかなんか分かりませんし、先に着いた方が知らせる事ができれば良いともいますから。」
「…そうね。」
もし、エレベーターの方に何も罠がなければ、そっちの方で次回の時に登れば智里や美波の体力を無駄にしなくても言いと思い、友梨は涼太の言葉に乗った。
「私が取り敢えず危険の強そうなエレベーターに乗るわ。」
「えっ!だけど……。」
戸惑うように言う涼太に友梨は微笑んだ。
「私と涼太くんなら多分体力的には涼太くんの方が上だと思うの。」
「……。」
「涼太くんには悪いけど、階段であがってくれる?」
「オレは別にどちらでも構わないんですが、本当にいいんですか?」
涼太は本当に友梨が危険な方を選んでいいのかと、心配になった。
「大丈夫よ。」
友梨は涼太の心配を取り去るように明るい笑みを浮かべた。
「これでもかなりの修羅場を乗り越えてきたんだもの、大丈夫よ。」
「……。」
涼太はこれ以上友梨に言っても、頑固な彼女が譲らないと悟ったのか、溜息を一つ吐いた。
「分かりました、くれぐれも気をつけてください。」
「ふふふ、昌獅見たいな事を言うのね。」
涼太は昌獅みたいだ、と言われ眉間に皺を寄せた。
「友梨先輩…。」
「ごめんなさい、でも、そんなに心配する必要はないわよ。」
「……。」
「さあ、行きましょ。」
友梨の言葉に涼太はしぶしぶ頷き、そして、二人は城の中に入っていった。
あとがき:涼太と友梨のペアは嫌いじゃないです。
本日は講座の方が休みで嬉しかったんですけど、少し前から入院していた祖父が今朝亡くなりました。
正直今も実感がありません、多分後数日して涙を流すような気がします。
今日はこの辺で失礼します。icon
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from: yumiさん
2011年07月03日 14時31分46秒
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「ダークネス・ゲーム」
〜第十一章〜・35・
友梨(ゆうり)と昌獅(まさし)の痴話喧嘩がようやく収まり、先頭を昌獅、次に美波(みなみ)、涼太(りょうた)、殿に友梨の順で走っていた。
「美波、平気か?」
「…う…ん…。」
かなり息の上がった声に涼太は眉間に皺を寄せた。
「友梨先輩!」
「……う〜ん。」
友梨は涼太に名を呼ばれ、スピードを上げ、彼が呼んだ理由を敏感に悟り、涼太と同じ様に眉間に皺を寄せた。
「どうしたものかしら…。」
「昌獅に背負ってもらったら、昌獅の体力が一気に減るし…。」
「かと言って、女の私が背負っても昌獅よりも先に限界に達するのが早いだろうし…。」
「オレは体格的に…無理だしな。」
涼太はこの時本気で自分の体格が美波と同等である事を恨んだ。
「仕方ないわよ、涼太くん成長期に入ったばっかりだろうし、その内大きくなるわよ。」
「その内じゃ、遅いですよ。」
本当に嫌そうに眉間に力を入れる涼太に友梨は苦笑する。
「そうね、でも、美波にしたらきっと嫌よね。」
「えっ?」
「多分涼太くんを弟と見ているのは自分と同じよな身長だし、年齢的なものもあると思うの。」
「……。」
「もし、涼太くんが大きくなったら、美波大パニックを起こすでしょうね。」
友梨は何となく未来の涼太と美波を想像してしまい、笑みを深める。
「まあ、今はそんな事を考えている場合じゃないわね。」
友梨は意を決したのか、一気に速度を上げ、昌獅に追いつく。
「昌獅!」
「何だよ、友梨。」
「私と涼太くんが先に行くわ。」
「おい。」
昌獅は顔を顰めながら友梨を睨んだ。
「しょうがないでしょ、美波の体力は私たちよりも下だもん、それに、美波と涼太くんのセットじゃどう考えても戦闘する事になったらヤバイし、かと言って美波と私でも多分守りきる自信が無いから。」
「……分かった。」
本当は行かせたくなかったが、このまま友梨の妹である美波を無茶させたならば、間違いなく友梨は自分を責めるだろうし、美波のもう一人の姉である智里(ちさと)に刃のような言葉を浴びせられるだろう。
「無茶するなよ。」
「分かっているよ。」
「……。」
「大丈夫、後でね。」
友梨は昌獅に微笑みかけ、そして、一旦スピードを落とし、涼太に話しかけ、二人は一気に美波と昌獅を追い越し、昌獅は足を緩めた。
「はぁ、はぁ…おねえちゃん…?」
先に言ってしまった姉と涼太に対し美波は不思議そうな顔をした。
「あの二人は先に行った。」
「な、ん…で…。」
昌獅は美波に対して睨みつけた。
美波はそれを見た瞬間、昌獅を恐いと思った。何故なら彼は殺気だっていたのだ。
もし、ここに友梨か涼太がいれば「大人気ない」と口を揃えて言うだろうが、残念ながらここには美波と昌獅しかいない。
「本当に体力ないな。」
「――っ!」
美波は昌獅の言葉に涙を浮かべた。
「……本当に、友梨の妹かよ。」
この時の何気ない言葉が純粋な美波の心を傷付けたなど、昌獅は気付いていなかった。
そして、その後、報復に遭うのだが、この時の昌獅が知る由がなかった。
あとがき:昌獅は地雷踏むの多いですよね〜。
今日はたまたま休みなので載せさせていただきました。次はいつになるでしょうか…。icon
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