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弥生の河に言の葉が流れる

弥生の河に言の葉が流れる>掲示板

公開 メンバー数:7人

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from: yumiさん

2011年11月23日 12時32分31秒

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お誕生日リクエスト

明さんに贈ります。《名(?)場面童話パロディ》演目1.金の斧、銀の斧男:昌獅女神:智里(秘密ゲスト有り)2.桃太郎桃太郎:勇真犬:美波猿:涼太雉:智里

明さんに贈ります。《名(?)場面童話パロディ》

演目
1.金の斧、銀の斧
男:昌獅
女神:智里
(秘密ゲスト有り)

2.桃太郎
桃太郎:勇真
犬:美波
猿:涼太
雉:智里
鬼:昌獅

3.マッチ売りの少女(?)
少女:涼太

4.赤ずきんちゃん
赤ずきん:美波
猟師:涼太
狼:昌獅
おばあさん:友梨

5.眠り姫
姫:智里
王子:勇真
悪い魔女:友梨
良い魔女:美波

6.シンデレラ
シンデレラ:友梨
王子:昌獅
継母:智里
姉(?):美波
姉(?):涼太

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from: yumiさん

2011年12月21日 10時16分49秒

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「お誕生日リクエスト」
4《赤ずきんちゃん》

 鼻歌を歌っている美波(みなみ)は籠を持って友梨(ゆうり)の家に向かった。

「いい天気だな〜。」

 暢気な事を言う美波の近くでは猟師役の涼太(りょうた)が木陰に隠れながらはらはらしていた。

(あの馬鹿…もっと緊張感持てよ……。)
(おい、涼太。)
(――っ!)

 まさか、後ろから狼の尻尾と耳をつけた昌獅(まさし)がいるとは思っても見なかったから涼太は飛び上がりそうなほど驚いていた。

(な、何でお前がここにいるんだよ。)
(ちょっとな。)
(……。)

 涼太はまさか昌獅がまたよからぬ事を考えているんじゃないかと訝しむ。
 その目で何を言いたいのか分かった昌獅はニヤリと不敵に微笑んだ。

(分かっているじゃねぇか。)
(…友梨先輩かよ。)
(ああ、だから、絶対にあいつを近づけさせんなよ。)
(……。)

 絶対に友梨を襲おうとしている昌獅に涼太は苦い顔をする。

(……何つーことを考えているんだよ、お前は……。)
(別にいいだろう、どうせ、後二つのうち、一つはあの悪魔の独占場だぞ、やってられないじゃねぇかよ。)
(……。)

 涼太は嘆息する。

(程ほどにな。)

 涼太は友梨の身を案じながらも、一番大切なのは美波なのでこれ以上彼女と差を広げられると彼女が転びそうになっても助けられない。

(んじゃあな。)
(……。)

 颯爽と去る昌獅に涼太はうんざりしながら、美波の後を追った。
 美波は花を摘み、そして、腕いっぱいに抱えていた。

「あいつ……。」

 苦い表情を浮かべ、涼太は絶対にあの娘がこけるのを予想して足を速めた。
 そして、彼の予想通り、美波は石につまずき体が傾いた。

「美波っ!」
「ふぇ……。」

 地面にぶつかる寸前に美波は涼太に支えられた。

「大丈夫かよ……。」
「う、うん、ありがとう、リョウくん。」
「はぁ。腕いっぱいに物を持つなよ、こけても仕方ないぞ。」
「だって、綺麗なんだもん。」
「はいはい。」

 涼太は呆れながら美波に適当に返事をする。

「そういえば、リョウくんの出番ってもっと後じゃなかった?」

 小首を傾げる美波に涼太は本日何度目かの溜息を吐いた。

「劇がつぶれそうだからな。」
「ふぇ?」
「そんじゃ、家に送る。」
「え、でも…あたし、友梨お姉ちゃんの所に……。」
「それは後でオレが持っていくから安心しろ。」
「?いいの?」

 涼太がそう言っている意味が分からない美波は首を傾げそう訊ねる。

「ああ、ほら、行くぞ。」

 涼太は美波の手を引き、そして、花畑を後にし、美波の家まで連れて行った。

「そんじゃ、それ預かるな。」
「うん、よろしくね。」
「腹出して寝るなよ。」
「寝ないよっ!」

 涼太の意地悪に美波は頬を膨らませそっぽを向く。

「それならいいけどな、じゃあな。」
「うん、またね。」
「ああ。」

 涼太は籠と花を持ち、そのまま友梨の家へと続く森の中に入っていった。

「大丈夫だといいんだけどな……。」

 涼太は友梨の家の前に立つの控えめなノックをした。
 しばらくは恐ろしいくらいの静かさに、涼太は本当に昌獅に友梨が食われたのではないのかと、心配になるが、それは杞憂に終わった。

「は〜い、美波?それとも涼太くん?」

 元気そうな友梨が姿を現し涼太は軽く目を見張った。

「友梨先輩大丈夫なんですか?」
「平気平気。」

 ニコニコと微笑んでいる友梨だが、その笑みはどこか恐ろしく思えた。

「ま、昌獅が来たんじゃ。」
「……。」

 昌獅の名が出た瞬間友梨の目がこれ以上はないって程冷たい光を宿した。

「ああ、あの狼さんね………。」

 低い声が友梨の口から漏れ、涼太は知らず知らずの内に体を強張らせた。

「……ちょっと、悪戯が過ぎたから、そこで寝ているわよ。」

 友梨が指差した先に確かに昌獅はいた、彼は木に凭れ掛かり、顔は悲惨なほど腫れ上がっていた。

「……。」
「大丈夫、次は確か昌獅の出番はないし、最後には何とかなるわ。」
「そうですね……。」

 涼太はそれ以上何も言えず、手に持っていた荷物を思い出す。

「友梨先輩、これ。」
「あら、ごめんね、美波とかの面倒とか見させちゃって。」
「いいえ、あいつが狼に選ばれた時点で予想はしていたんで。」
「少しは真剣にお芝居をして欲しいわね。」

 友梨はギロリと昌獅を睨みながら、涼太から籠を受け取った。

「それじゃ、オレはこの辺で。」
「ありがとう、それじゃ、気をつけてね。」
「はい。」

 涼太の身を純粋に案ずる友梨に彼は微かに微笑み、森へと再び足を踏み入れた。

End……?

「……昌獅、いい加減にしなさいよね!」
「……本気で殴るなよ。」
「あんたが悪いんじゃない。」
「……。」
「この変態っ!色魔!」
「お前な……。」

 額を押さえる昌獅を無視して、友梨はどすどすと次の場所に移動したのだった。

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