椀飽く迄も
鉢うえお玉杓子
皿に舐めて見tie
湯呑み回さないで
箸みたく水馬swing
匙位に縁取り輝けり
Fork雪達磨へ落とそう

すると或る時々に、

日輪に青栗の蟲老いにけり 大江健三郎君だったし

桃ひたす白磁の器水はえぬ 三島由紀夫君だったし

むすびこす水引しめる西瓜哉 芥川龍之介君だったし

タマネギの沃土に揃ふ花盛り 尾崎紅葉君だったし

にわ草に朝靄残り山桜桃熟る デカルト君だった


見性成「仏」

内陣に仏の光る寒さかな

炉開きや仏間に隣る四畳半

仏性は白き桔梗にこそあらめ

仏より痩せて哀れや曼珠沙華

秋風や唐くれないの喉ボトケ


*しかも六識は唯物的に、である。

百八の鐘に打ち出す玉の春(幾多郎)

平作が傘に重兵衛蜻蛉かな(同上)

手拭いに陽炎立つや手水鉢(同上)

雉鳴や谷を隔つる五戸の村(同上)

河豚買ふゼニ貸したるが知れにけり（蝶衣）

何もなし何もなしまあかまなつの陽（菫哉）

宵の銀座の君が手にも買い物の包み（六花）

海のあいザボンのみどりあかとんぼ（達治）