古き宮一つ残りて土手の上に昔ながらに女郎花咲く

ででむしの身は痩せこけて肩書の殻の身なるを負へる我はも

われ死なば故郷の山に埋もれて昔語し友を夢みむ

仙人の耳によく似る椎の茸吾友食みてつとめ食ぶべし

死の神の鎌の響きも聞きやらで角帽夢見き病める我子は

逝く水の流れの底の美しき小石に似たる思ひ出もあり
幸福論88参照
蛇のきてかわずを呑むをあはれみて肉おきしとふ石も見えつつ
同上87
かりそめの宿りなりしをいつしかに軒端に届く竹のひともと
86
猿飛が今の世にまだ生きありて九字を切るこそをかしけれ
75
そこはかの愁ひある日のかえるさはいや懐かしき京の夕山
64
※虫長う張る花　母、jack！あらん？（秀樹には見透かされて見えている）
尚ヴィトゲンシュタインでは4・112〜4・116を参照。数学者と物理学者の近似値か。