「私は私である」という事であり、「私は私である」と言う事である


「私」ということは全く単純で問題のないことのよう


素朴な反省による自己言及の原始的遡行


不透明な奥深いところがある






冒頭の一枚で述べられている言葉がすべて前掲した俳句への感想になっている。

鉄条に似て蝶の舌暑さかな

青蛙汝もペンキ塗りたてか



兎も片耳垂れる大暑かな

桃咲くや泥亀今日も眠りけり





ギリシャでは四つの概念で差異化した物事を２つの観念で見事に異化している感じがする。
〈ヒューマニズムからナチュラリズムへ〉或は、
〈さびからわびへ〉。その正体は？

御輿担ぎはメビウスの輪ですから、玄武は想像の不可能を暗示している。

潮干狩りはクラインの壺ですから、白虎は写実の不可能を暗示している。

一本釣りはパンドラの匣ですから、朱雀は流行の不可能を暗示している。

雑巾掛けはギュゲスの環ですから、蒼龍は解釈の不可能を暗示している。




ゼウスがエロスとプシュケを結び付けたように、和辻はタイフーンとモンスーンを結び付けた。

堀辰雄
顕はにするということが暗くするということでもあるといふ背理が成り立つ。

幸田露伴
木の間を漏れる月の光を見てそこに月を捉へ、それを眞の月と誤解するであろう。

国木田独歩
月に直通する道たり得るので、それは月自身が自ら放つ道しかも月自身への道である。

長谷川如是閑
月を指すと言はれるその指も本来は月自身に属している。それは月自身の放つ光である。




西谷啓治の『般若と理性』より。

島崎藤村「私は憂鬱質の代弁者である」

有島武郎「我は多血質の代弁者である」

井伏鱒二「僕は粘液質の代弁者である」

永井荷風「俺は胆汁質の代弁者である」