００年代に、自動車メ－カ－の系列下請け企業同士の合併を、親会社が促進するという動きがあった。コストダウンと経営効率化をねらったものである。
　親会社からの要請であるから、下請け企業としては、これを拒否するわけにはゆかず、これに応えて２社、３社が合併に踏み切った。各社ともオ－ナ－企業として独自の経営をしてきて、体質も異なる企業だから、喜んで合併に応じた下請けは、一社もなかったはずである。企業規模が大きくなって、将来は証券市場に上場もできる、というような夢物語に引かれてしぶしぶ合併したというのが実態であった。
　その当時の話である。
　Y社とP社が合併した。両者は自動車部品のプレス、板金専門の下請けで、技術力や規模では、Y社がP社を上回っていた。ところが、合併は、P社がY社を吸収するという形でなされたのである。
　これは、誰が考えても、おかしいが、思い当たる節があったのだ。
　ともに親会社との関係は長く、両社長とも親会社とは密接につながっていたが、そのつながり方が違っていたのである。