Y社長は親会社の部課長級とは親密であったが、上層部との接触は少なかった。それに対し、P社長は、親会社の協力企業会の理事長を務めるなどで、協力企業活動に熱心であった。この関係で、親会社の上層部との接触も密で、フリ－パスで上層部に面会できるようにまでなっていたのである。
　この上層部とP社長とY社長とのパイプの太さの差が、合併時の逆転現象に繋がったものと思われるのである。
　これについて、ある人は「政治力の差だね」と言ったが、P社長は、合併話が出ることを先見して、合併の際に優位なポジションに立とうとして、親会社の上層部に接近したわけではないから、そのために政治力を行使したとは言えない。
　ただ、P社長とY社長の政治性素質の違いによるものであるとは言えよう。
　政治力行使とは、ある目的があって、そのために行使されるという場合であると思う。