アメリカが外交面で一番重視しているのは、米中関係である。
中国は、アメリカにとって経済的に最大の貿易国、アメリカ国債の最大の保有国であり、その上、南シナ海、東シナ海を中国の核心的利益海域であるとして、武力を背景に強引に覇権を確立しようと、ベトナム、フィリッピンなどの諸国を排除しようとしているのだ。
　これは米国の世界戦略を引き裂こうとするもので、このような事態に脅威を感じているアメリカは、米中の２G関係を安定的に維持することに腐心しているのである。
　そのためには、同盟関係にある日本に、アメリカが望むことは、日中の関係で、波風を立てないで、安定した関係を維持してもらうことなのだ。
　日本の集団的自衛権容認の問題にしても、それが日中間の摩擦を増幅するなら、止めてもらうほうがよい、というのがアメリカの本音であろう。
　他の対中国敵視的な右傾化政策にしても同じであろう。
　このことは、アメリカが、事前に首相の靖国訪問を控えるように日本政府に要請したのに、参拝を強行したことに対して、「残念としか言いようがない」とアメリカ政府がコメントしたことからも明らかである。