道楽を定義すれば「自分だけのために、大金を使い込んで喜んでいる非生産的な行為」となるであろう。
　道楽にもいろいろある。「骨董趣味」は典型的だが、その他「女道楽」「釣り道楽」「蒐集道楽」などがある。
　釣りそのものは、道楽とは言えないが、大物釣りを目指して世界を駆け回るなどと云うことになると、明らかに道楽である。
　書画骨董は、古いものになると、本当の作者や来歴が分らないものが多く、贋物を掴まされていても知らずに喜んでいる場合も少なくないといわれている。
　ミケランジェロが、ある資産家から、ミケランジェロ作と云われて買った彫刻を見せられた時、彼は一見して贋物と見抜いたが、「貴方が本物と思われるのでしたら、それで良いではありませんか」と云ったという。
　美術館などで、贋物を展示するのは問題だが、個人的に観賞し、満足しているならそれで良いと思う。
　女道楽は、昔は郭通いであろうが、今は二号、三号を囲う
というのが多い。これは沙汰の限りである。
　蒐集道楽は、幼児性の名残りとばかりは言い切れないと思う。切手の蒐集などは子どもの頃は、誰もが一度は経験する関門であるが、すぐに飽きるのが普通である。
　しかし、中には、大人になつても続けている人がいる。蒐集の対象としては、切手、模型自動車、鉄道模型、コインなどいろいろある。
　切手やコインなどは、珍品は高価で売買されるから、これを商売にする人もいる。これは道楽とばかりは言えない。が、模型自動車を何万台も蒐集し、自宅の敷地内に別棟を建てて展示している高名なエコノミストもいる。こうなると完全な道楽の極みである。
　道楽の哲学は、「資産価値を考える」であろう。