この案件は、阿倍が１年以上ウソをつき続けてきて、今更総辞職というのもしゃくにさわるし、といって、今解散すれば、議席を大幅に減らすことは確実という切羽つまったなかで、とにかく居座ったまま秋の総裁選を待とうというまさにポストをはなしたくないだけの政治的赤色ウソであることは明白である。
　刑法犯に喩えれば、状況証拠はヤマほどあるが、物証と自白がないだけというところであろう。
　それにしてもこのような状況にあるにも拘わらず、世論調査では、安倍内閣の支持率が40%を切らないというのはいったいどうしたことかと首をかしげるばかりである。
　アベノミクスは、世界経済の回復で何とか失敗という形にはなっていないが、景気はまずまずだから、今のままでよいではないか、という一般庶民の政治的無節操によるものであろう。
　これは、見方によれば、生活がひどい状態にならなければ、ウソだらけで、人格を疑われるような政治家がリ－ダ－の地位に居座っていてもよい、政治はどうでもよい、という民主主義の放棄とも言える現象である。
しかし、この問題の問題については、選挙民ばかり責めるわけにはゆかない。自民党自体がしんと静まりかえっているのも不思議である。
　派閥が強かったころの自民党なら、総理の責任を問う派閥が二つや三つは出たはずであるが、今、阿倍総理を厳しく批判するのは村上誠一郎議員ただ一人という体たらくである。
　「票のために働く議員は偽の政治家だ、国民のために働く政治家こそ本物の政治家だ」という言葉があるが、票以前の公認欲しさだけの惨めったらしい議員しかいなくなった自民党である。

　村上新八