人間の尊厳とは、人間を「人間らしく扱う」ということたと思うが、人間らしくとはどういうことか。辞書を引いても、「人間性に即して」などと記してあるだけで、不明確である。
　人間も動物である。動物にも快、不快の感情はあるし、喜怒哀楽の感情もある、この点では人間と変わりはない。が、人間しかできないことは、物事を理性的に考え、善悪を判断できることであると思う。
　人間は、こういう存在であるから、それなりの敬意を払った対応、扱いをすることが必要になるのであると思う。
　それは健常者の場合と心身に異常がある人の場合とで対応のやり方は異なると思う。後者の場合には、意思の伝達不十分であったり、認知症があれば、介護師の言うことに反発したり、乱暴を働いたりすることもあり、それに腹を立てて、介護師が暴力を振るうことも少なくないからである。特別養護老人ホ－ムなどでよく起こる事象である。精神病院の場合も同じである。
　介護師は、このような人たちを健常者のつもりでいたら、腹も立つし、そのあまり力で制圧したくもなるであろう。
　しかし、相手が病人である、身障者であると認識しておれば、その対応はおのずと違ってくるはずである。それが人間の尊厳の意識に基づいて、人間らしく扱うことの意味であろうと思う。
　しかし、その認識を介護担当者に厳しく植え付ける子度が基本であると思う。