金正日の葬儀に伴う追悼期間が終わった北朝鮮で、国防委員会が声明を出した。
　その要旨は「先軍政治は継続される」「わが軍隊と人民は永遠に変わることなくまっすぐ進む」「われわれに対するいかなる変化も望むなと自信を持って厳粛に宣言する」と改革開放も否定するものであった。
　これは、予想通りであり、驚くこともないが、先日も、餓えに耐えられずに脱北しようとした北朝鮮兵数名が、国境を越えた地点で北朝鮮軍に射撃され、２名が死に、残りの兵は中国軍が北朝鮮に引き渡したという事件があった。金正日死去の直前であったという。
　先軍主義と言っても、兵士さえも餓えている窮状にあるのである。
　このまま金正恩と軍が、金正日の路線を突っ走れることは、北朝鮮人民餓死の道をそれこそ「変わることなく、まっすぐ進む」ことになるのである。
　これこそ朝鮮民族の悲劇である。同胞である韓国人は、座視することは出来ないはずだが。どうするのか。
　村上新八

　政府税調は２９日夜まで審議を続け、やっと消費税率のアップ案を決定した。この間に、離党者も１０人ほど出しているのだ。
　案では、消費税率を１４年４月に８％にアップさせ、更に１５年１０月には１０％に引き上げる。その一方で、それまでに、議員定数削減や公務員総人件費削減などの改革を断行する、という一文を加えての決定であった。国民に痛みを強いることを納得してもらうために、予算も削減するというバランスを考慮したものである。
　諸般の情勢からみて、この措置はやむを得ないと思う国民が多いはずである。
　しかし、１０００兆円を超える借金の返済はどうなるのか、次世代につけを回さないなどとしおらしいことを言ってはいるが、１０００兆円もの次世代に回る借金がもう出来てしまっているのだ。政府は、これをいつまでに返済するつもりなのか、その見通しくらい示すべきであろう。
　村上新八
　
　
　

　防衛庁が所定の手続きに沿って、２７日に沖縄県に送りつけた、普天間基地の辺野古移転に伴う「環境評価書」の受け取りを実力拒否し、やむなく、翌日早朝に、再度、文書を承諾を得て、守衛室に運び込んだのだ。
　これに対して、一部の議員や市民が実力で、その文書の守衛室からの移動を妨害しているという。
　沖縄県知事は、正規の手続きだから、この文書の受領は当然であるとしている。これが正しいのである。
　文書の受け取りが、即基地移転の承諾とはならないのだ。それに対して、反対意見を答申すれば、基地移転を拒否することになるのである。
　だから、ここは単なる手続きとして、粛々と受け取り、粛々と拒否すれぱことは足りるのである。
　「環境評価書」受け取りの実力妨害は、「受領即承諾」という誤解に基づく誤りである。
　村上新八

　チュニジュアから始まった長期独裁の強権政治を打倒し、民主化を目指そうという若者中心の革命運動は半分成功のまま先行く不透明化している。
　決起した若者の勢いは良かったが、皆ばらばらで、まとまりがなく、その先の戦略が不透明で民主化選挙をやるだけの計画しかなかったからである。
　民主化総選挙はやられているが、結局は、それまで非合法化されていたが、福祉、医療、教育といった面で地道に民衆に浸透していたイスラム系勢力の政党が議席の大半を占めるという結果に終わることが明らかになってきているのだ。漁夫の利になったのである。
　そこで、台頭したイスラム系政党がどう出るのか、トルコのような穏健な形を取るのか、或いはイランのようなイスラム色の濃い政策を取ろうとすのか、その辺はまだ不透明である。
　イスラエル問題を含めて、中東が不安定な方向に進まないことを期待するばかりである。
　村上新八

　金正日が死亡たのは、死亡時刻的にみても、列車に乗っている時刻ではなく、別の場所とと見られているが、それはともかく、心筋梗塞というから、かなりのストレスがあったものと思われる。
　そのストレスこそ来年には「強勢大国への大門を拓く」と誇大に吹きまくった金正日の大言であり、それが幻想に終わるという事実が彼の心を苛んだのだと思う。
　「強勢大国」なんて熟語はにないが、その語感からすると、今の朝鮮の国一人当たり民所得（統計は公表されていないから推定だが）４００ドルを少なくとも７倍くらいにはしないと、最低レベルでも「強勢大国」とは言えないという大方の見方である。
　しかし、核兵器とミサイル開発以外には、なにもめぼしい産業らしいものはないものがない、飢餓状態の北朝鮮で、そんな手品みたいなことが出来るはずは絶対にないのだ。
　いままでの独裁者は、イランのフセインにしてもリビアのカダフィにしても、石油資源があったから、国民にそれなりの豊かさを与えられたが、何もない北朝鮮には、韓国みたいに日本からの経済援助金がなければ、そもそも無理であったのだ。その点でも金正日は最低の独裁者であった。本人のためにも死んでよかったのである。
　村上新八

　大阪府知事、市長同時選挙のときは、対立候補を擁立して一斉に反橋下攻撃を展開した各政党は、橋下が当選するや。一転して橋下に擦り寄る、あるいは、好意的な姿勢を見せ始めている。
　節操がないことこの上ないみっともない姿勢である。
　橋下の二重行政の撤廃主張はその通りであり、良く分かるが、大阪都構想にしても、教育委員会非難もよく分からない。条例で、国歌を規律して斉唱しない教員は、免職にするというのも全く奇異な話で、こんなことに賛成は出来ないし、このようなことを橋下好みの独裁的施策で強行されてはたまらない。
　はねっかえりのタレント崩れに踊らせられないように、大阪人も政党も、よくよく注意すべきである。
　村上新八

　２５日の朝日の朝刊の一面には「規律なき予算」の大見出しが踊っていた。来年度予算案についてである。
　過去４年続きの大赤字予算であるが、埋蔵金も底をついた結果、一般会計予算９０兆円、税収４２兆円、国債発行４４兆円、借金４９％という予算になってしまった。
　これで借金の累積は１０００兆円を超えることになる。実にＧＤＰの２００％、未曾有の大借金だ。
　財務相は「国債もそろそろ限界だ」と言っているが、限界は半分の５００兆円、ＧＤＰの１００％だ。その限界はとうに超えているのである。
　今は、国民の金融資産１４００兆円で、辛うじて持ってはいるが、今後これは減る一方だからもう当てにはできない。
　しかも、予算の中身をみると、八っ場ダム、東京外環道、整備新幹線などの大型公共工事は再開する反面、７０－７４歳層の医療費負担２割や共済年金改革などの国民負担増は先送りという危機感の無さばかりが目立つ。
　一体、政治家や官僚どもは、日本の財政的破滅を目前にして、何を考えているのだろうか。このままでは「茹で蛙」どころの騒ぎではなくなる。真面目に財政再建のスキ－ムを示し、国民の覚悟を促すべきである。
　　村上新八
　

　米国は、金正日の死去で、できるだけ、北朝鮮を刺激しないように取り計らう方針を決めたようである。
　未熟な青二才の金正恩の後継問題で、突飛な問題が発生するのを避けようとしての考え方であろう。
　金正恩は、軍の経験も実績もなにもないのに、親父から、大将と国防委員会かなにかの副会長に任じられた直後、軍での実績を造るために、韓国の延坪島を砲撃させて、民間人二人を含む四人の犠牲を出させた。
　これが金正恩の仕業であることは、その直後に｢金正恩大将は砲撃の名手である」などと持ち上げる報道がなされたことでも明らかである。
　この調子で、金正恩の威力を見せ付けようとして、ミサイルでも発射されたら大迷惑だから、あまり刺激しないようにと決めたのであろう。
　賢明で穏当な考え方である。
　村上新八

　今月１８日で、イラク駐留米軍は完全撤退した。０３年以来８年間に及ぶ米軍駐留はなくなったのである。
　ところが、これを待っていたかのように、バクダッドで自動車爆弾テロが発生、少なくても６箇所の同時テロにより、６０人が死亡、１８０人が負傷したという。爆発場所は、シ－ハ派住民が多い地区で、スンニ派によるものと言われている。
　シ－ア派に属するマリキ首相が、スンニ派系のハシミ副大統領に対する逮捕状を発行させたことに対する報復であるとも言われるが、その真相は分からない。
　アルカイダによるものとの説もあるが、米軍の撤退後であるから、その説には疑問がある。
　とにかく、宗派対立による内戦化は防がねばならない。その懸念を残したまま撤退したアメリカは、かってのアフガンでの失敗を繰り返すことになるばかりでなく、アフガンで死んだ５０００名の米軍将兵の死をムダにすることになるのだ。
　村上新八

　ロシアの下院議員選挙ではプ－チンの「統一ロシア」は勢力を衰退させ、辛うじて過半数を維持するにとどまったが、その選挙不正追求は続いている。
　それだけではない。これに続いて、モスクワでも、旧ソ連崩壊から２０年ぶりといわれる規模の反政府集会に市民が集まっているという。選挙の民主性を高め、政権が変わることを要求しているのである。呼びかけたのは野党だが、その中心は、中間所得層だという。年寄りの年金生活者は、政府と揉め事を起こして、年金でも減らされたら困るから動かない。が、
２０００年台の石油高騰期に生まれた今の中間層がものを言い始めたのだという。
　ロシアの民主主義はまだまだ形もできていないプ－チンの独裁圧政であり、これがすぐ変わるとも思えないが、このような民主への動きは歓迎すべき現象である。
　村上新八