今の日本は混沌を極めている。内外の問題は山積、長期不況は先が見えず、国の借金は１０００兆円、若者は就職口がなく、大震災まで襲ってくるという滅茶苦茶さである。
　こういう世相の下では、とかく突飛な奴が珍重される。今、その代表が橋下大阪市長だ。
　独裁を好み、競争が大好き、起立して国歌を斉唱しない教師は首にするという条例を造ったほど、右翼臭の強い男だ。こういう奴だから、世の中を変えるだろうと思っている愚衆が支持するのであろうが、これが大間違いの元になるのだ。
　こんな男が、こんどは教育条例を造って、教育目標を首長が決めるようにするという。とんでもない話である。
　教育目標の内容は不明だが、「読み、書き、算盤とマナ－、共同社会で生きる基本ル－ルを教える」という教育の目的は昔から不変だ。それにプラスする目標とは何だ。
　それをしょっちゅう首がすげ変わる首長が決めるということが、どんな混乱を教育界にもたらすのか、不気味極まる危険な匂いが立ち込めている。
　村上新八

　区画整理によって収用される農地の保障を求めて、中国の中央官庁に陳情(上訪)した。これを違法陳情だとされて、地方政府によって、公共広場でさらし者にされた、という事件が報道されている。
　この問題で、農民は起訴され、一審は有罪、控訴審は差し戻し、再度有罪となったが、再度の控訴審で無罪となり、釈放されたが、それまでに１年半も掛かったという。
　区画整理の裏には、賄賂による工場用地化の働きかけがあったのかも知れない。こんなことは中国では普通に起こることだが、このような問題について地方政府に抗議しても相手にされないから、上訪はよくあることだが、殆どは北京の中央官庁前に張り込んでいる地方の役人に追い返されるのが落ちであった。今回のようにも「さらし者」にするのは例がなかった。
　これは人民の人権無視がエスカレ－トしつつある嘆かわしい兆候である。
　村上新八

　

　東日本大震災関連で政府が立ち上げた会議は１５あるが、そのうち、１０の会議についての議事録が作成されていなかったことが明らかになった。
　こんなことは常識では考えられないことである。
　企業などおよそ組織体の会議は、すべて議事録が作成され、責任ある者がそれに目を通して、内容を確認して、保管するとか他に配布されるのが常識である。　
　これらの会議は、一回こっきりではなく、継続されるものであるから、前の会議の記録は必須であるし、その上未曾有の災害に関する会議であるから、その記録は後の参考資料としても貴重なものであるはずである。
　そのような常識と重要性にも拘わらず、議事録がとられていないのは、関係者の大失態と言わざるを得ない。
　関係者は厳罰ものである。
　村上新八

　石原都知事が、新党をつくるという報道がある。
　さすが、齢８０才を自覚して照れくさいのか、話を持ちかけている国民新党の亀井静香に「何でも協力しますよ」と言っているだけ、と口を濁らせている。
　石原は「今の政治構造はシャッフルしなければ」などと言っているが、どのような理念を持って、どうシャッフルするのか、それがなくて、大口だけで終わるのは分からない。
　大口を叩くのは石原の得意で、都知事になるときも「東京から日本を変える」と大口を叩いたが、結局何も出来なかった。
　石原がやったのは、ジ－ゼルトラックの排気ガスを都から追い出しただけ、東京都新銀行やオリンピック招致にも失敗、大赤字を都民に押し付けただけであった。
　こんな老人は、早く引退するに超したことはないのである。
　村上新八

　「税と社会保障の一体改革」は必須かつ緊喫の政治課題であり、その要は消費税増税だ。
　これについては、民主、自民両党とも方向性は一致しているるいるにも拘わらず、この協議を谷垣は拒否している。
　その理由は三つある。
１民主党のマニフト違反
　マニフェストには、増税実施前には国民の信を問う、とあるだけであるから、増税案を検討すること自体は違反にはならない。
２増税前に支出の削減内容を公表せよ
３社会保障制度の将来像をはっきりさせよ
　２と３は当然であるが、これは拒否理由ではなく、協議をするうえでの条件である。
　このような姿勢が、野田の言う「大局を見ずして政局に拘る」ということなのだ。
　総選挙をやっても、どうせ、自公合わせても過半数は取れないのだから、今から協議に慣れておくほうが賢明ではないか。
　村上新八

　大震災、超円高、１０００兆円の借金、世界同時不況、少子化、高齢化、ねじれ国会、と五重、六重の難題を抱えて、四苦八苦する政権を運営しなければならない野田首相が、施政方針演説で「政局思考より大局思考を」と野党に訴えたのは、全く正論である。
　これは野党だけでなく、与党内での反対勢力に対する訴えでもある。
　この問題に関連して、かってねじれ国会で、同様の苦しみを経験した、福田、麻生の両元首相の、「与野党協議による解決こそ国民の付託に答える道だ」との言葉を引用して協力を訴えた気持ちも分かる。
　当時の野党であった民主党も、この福田、麻生の呼びかけには、鼻も引っ掛けないで、当時の与党を苦衷に追い込んだことも事実である。そのことについては、民主党の岡田大臣も、「俺達も野党時代はそうであったが、今は反省している」と述懐しているのだ。
　税と社会保障一体化の問題については、与野党考え方は同じなのだし、ねじれ国会で与党として同じ苦しみを味わったのだから、このような重要な国策については、「ざまあ見ろ、解散しろ」と言う前に、与野党の壁を越えて協議し、共同して政策推進するのが真の政治家というものであると思うが。
　村上新八

　EUはイランからの石油不買を決定した。日本もアメリカの同盟国としてかなりの程度、これに付き合わせられることになろう。
　この動きに対して、イランとしては、ホルムズ海峡閉鎖などを強気で言ってはいたが、実際にこれに踏み切ることはないであろうし、このところ態度を和らげる兆候も見せている。
　EUとしても、不買は決めたものの、イランからの石油輸入はかなりの比率を占めており、その代替をサウジでやれたとしても、価格の騰貴などの影響で、経済的に苦しむことにもなるであろう。
　また、イランは、中国、インドに代替輸出先を見つける道を考えており、EU分は１００％はカパ－出来ないとしてもかなりの分の代替はできるのであろう。
　このような点を考え合わせると、EUの不買は、制裁効果としてはあまり期待はできず、イランの核開発は止まらないと思う。
　イランの核開発の真意を図り、その影響を判断して、中東問題とテロ問題を含めて、総合的な見地からの外交折衝による解決に求めるべきであろう。
　村上新八

　２２日の自民党党大会での、谷垣総裁の演説は、民主党政権を「偽りの政権」「こんな政権が続いたら日本は滅びる」「政権の正当性を回復する総選挙を求める」と激しい言葉で、野田政権を罵倒した。
　激しい言葉で非難することが野党党首としての指導力を示すものと思っているらしい。
　「偽り・・」というのは野田政権がやっていることは、民主党のマニフェストに掲げていたことは中途半端で、それに掲げていない「消費税増税」にばかりうつつを抜かしている、ことを指すものであろう。
　しかし、消費税１０％引き上げは、自民党のマニフェストにも謳ってあるし、自民党が政権を取っても遣らざるを得ないことなのだ。
　谷垣が、自民党ならどうやるのか、どこが民主党と違うのか、それをきちんと国民に向かって言わない、言えない?から、自民党の支持率も低迷しっ放しなのだ。これでは総選挙をやっても、自民党り得票率は過半数はおろか３０％も切れるであろう。
村上新八

　FPA(経済連携協定)で日本にやってきて、介護福祉師を目指す外人はいままでに１３００人を超えるという。が、来日してから４年以内に介護福祉師試験に合格しないと帰国させられる制度になっている。
　この試験はなかなかの難関で、日本人でも合格率は５０％だというから、言葉や漢字の壁がある外人には、超難関で合格率は５％にも満たないという。
　折角日本にやてきて、４年も勉強し、やっと日本語会話にも馴れてきた彼女らを不合格だからと帰国させるのは、まことにもったいない話である。
　せめて、試験科目を分けて、部分的に合格すれば、１年づつ滞在を伸ばし、何年か掛かっても全科目が合格できるように、制度を変えてやることが、日本のためにも彼女らのためにも有益であると思う。是非、制度の改正を検討すべきである。
　村上新八

　バン国連事務総長が、シリア政府がデモ弾圧で５０００人にも上るシリア人民を殺害した問題を巡って、中ロの態度は安保理の結束を分断するものであるとして、名指しを避けながらも、非難したことは正しい。
　安保理のシリア政府の人民弾圧収拾決議に反対する中ロの態度に怒った非難である。
　中ロは、シリアに対する非難決議は、「内政干渉である」という理由で反対しているのだが、平穏にデモをする非武装人民を武力で殺害する行為には安保理としては結束してこれを阻止することが正義であるとするバン事務総長の考え方は正しい。
　中ロが反対するのは、自国内で、中国の場合はチベットや新疆ウイグル、ロシアの場合はチェチェンなど少数民族に対する弾圧をやっており、これに他国が口を出すのを内接問題として排除する姿勢に合わせているのである。これこそが、国益と称して正義に悖ることをじさない中ロの姿勢の真実なのだ。
　村上新八