２８日の阿倍首相の所信表明演説は４７００字という短くもので、中身のないものであった。
　彼の考えている、憲法改正、国防軍設置、集団的防衛、原発継続、辺野古移転強行、防衛力強化、社会保障の削減などの阿倍カラ－はすべて隠し、税と社会保険の一体改革、ＴＰＰ、領土問題など触れると危ない問題は一切避ける、という安全運転の所信表明であった。
　つまり、夏の参院選までは、この演説で１４回も唱えた「危機」意識を煽り、金融緩和での円高解消、公共事業という形での財政出動、これから考える成長戦略など経済再建の甘い期待を持たせて支持を固めようという魂胆が見え見えの演説であった。
　円安誘導で輸入原材料が高くなり、物価は上がるが、給与は上がらず、消費は増えず、残るは不要な公共事業の箱物と１０００兆円を上回る借金の山だけということにならない保障は何もないのだ。
　村上新八

　直近の世論調査では阿倍内閣の支持率が上がっている。その理由は、大きな賭けである「アベノミクス」に対する期待によるものであろう。
　阿倍内閣成立前から、円安、株高の傾向が出始めていたが、このところ、対ドルでは９０円、株価も一万円を超え、その期待感から支持率が上がっているのであろうと思う。
　これは既成政党に失望した大阪中心の有権者が、何かわけの解らぬ維新の党に肩入れしているのと同一の大衆心理であろう。
　禁じ手の政府による日銀支配や無制限ともいえる国債発行で、大博打を敢行し、日本をだめにした公共事業のばらまきで、日本経済の再生が出来るとは思えないが、それに賭けてみようとする大衆の心情には、衰退する日本に対する切羽つまったやりきれなさを感じざるを得ないのだ。
　村上新八

　先の北朝鮮の、国連決議違反のミサイル発射実験に対する、国連安保理一致の制裁の強化決定に反抗して、「我々は武力でアメリカに対抗する重大な決意をした」と述べ、いつでも三回目の核爆発実験の用意が完了していると発表した。
　北朝鮮は、「この核実験は全国民の求めによるものである」と言っているが、冗談もほどほどにしてもらいたい。
　９９％の北朝鮮人民は、「核実験など関係ない。我々が求めているのは飢餓と寒さからの開放だ。われわれが欲しいのは食料とエネルギ－だ」と言っているのだ。
　金正恩は父親、金正日の後をついで、ミサイルと核兵器でアメリカを脅し、食料、エネルギ－を獲得しようとしているが、この戦略は絶対に失敗する。
　この戦略に固執している限り、北朝鮮は自滅の坂道を突っ走ることになるであろう。
　村上新八

　第二次阿倍内閣の副総理になった麻生太郎は、総理大臣をやっていた当時から、うっかり発言を多発して、再三発言の訂正、撤回を繰り返し、「ブレ首相」と言われた舌禍名人であったが、その性癖は、今も変わらないようである。
　２１日に開催された、社会保険国民会議で、終末期医療問題について、「さっさと死ねるようにしたらよい」「税金もかかるのだから」と述べて、後でこの発言を撤回し、議事録からも削除するように指示したという。
　彼は自分自身としてはこうしようと思っていたためにうっかり口を滑らせたのであろうが、この場で、一般論として述べることは言い過ぎである。
　彼はひとが良く、悪気はないのだが、ひょいと頭にうかんだことを、その影響も考えずに、即口に出す癖があるのだ。それが舌禍になるのである。が、その癖は死ぬまで直らないのであろう。
　村上新八

４物価だけが上がり消費は減る
　円安を誘導すれば、生活必需品の原材料を輸入に頼る日本の物価は確実に上がるだろう。が、輸出は増えず、給与もあがらない。ということになれば、増税が待ち構えているなかで、消費は増えない。
　となると、物価高の経済低迷となるし、そうなれば、インフレの兆候は感じられないから、インフレ予想心理に期待する消費増は起こらないであろう。
　輸出や国内需要を活性化させるような商品が開発されるには時間が掛かるし、雇用増が見込まれそうな新規事業が起こりそうもない。
　となると、アベノミクスは失敗に終わり、残るのはデフォルト寸前の借金の山と再発した阿倍の潰瘍性大腸炎だけということになろう。
　村上新八

　

３古き自民党のお家芸公共事業ばらまき復活
　日本のインフラ、道路、橋梁などが老朽化しており、耐震補強が未完の学校校舎も多い。これらの補修、改修は必要である。そのための公共事業はやむを得ないが、それに便乗して、要らない道路の新設や拡幅にもカネをつぎ込もうとしている。
　その予算は１０年いで２００兆円という。公共事業によって雇用を増やすてめには、１０年は継続投資してもらう必要があるという業者の言い分に応えたものであろう。
　しかし、公共事業投資は乗数効果がない、それっきりの投資だから、経済的波及効果は見込めない一時的なカンフル効果に過ぎないのだ。これで瞬間的なＧＤＰ値があがっても日本経済が回復したことにならず、日本経済の再生には貢献しない。自民党の参院選用の選挙費用として、国債が増加し、次世代への負担が荷重されるだけである。

２中国との対立の激化
　阿倍は総裁選立候補の公約で、「靖国参拝」「集団的自衛権の容認」「憲法改正して９条の見直し」「自衛隊国防軍に改称」[尖閣諸島への公務員常駐」「村山談話、河野談話の否定」をあげた。
　これは明らかな中国への挑戦であり、中国政府及び国民の神経を逆撫でする事柄である。
　日中関係が険悪になり、かっての「政冷経熱」から「政零経零」に変わっているこの時期に、更に中国を刺激するようなことを何故言うのか。
　中国の強硬な態度の屈するというのではない。相手がかっかしているこんな時期に、敢えて刺激しないで、そっとしておくことも外交の要諦の一つであることを忘れた子どもじみた強がりにしか思えない。
　これによって、日本にとって世界最大の貿易相手国である中国との関係を更に悪化させるようなことを敢えて言うことは、対中輸出を更に落ち込ませ、日本の経済復興にブレ－キを掛けることになろう。

　阿倍首相は１１日、大阪で日本維新の会の橋下代表と会談した。これは阿倍から申し込んだものというが、参院選後のアベノミクスを含めて、阿倍の右傾化政策を一挙に推進しようと企んで参院選を前に、右傾化に反対の公明党を切り離し、野党共闘に楔を打ち、維新と連立して、衆参ともに、絶対多数を整えようとするための工作であろう。
　橋下がこれに乗るかどうかはまだ不透明であるが、アベノミクスを含む阿倍政策の最悪のシナリオを描いてみよう。
１借金の山が更に高くなり、ギリシャ化する
　民主党政権が掲げた、年間赤字国債限度４４兆円を改めて、５２兆円までとした。
　阿倍は「財政健全化は大切である」と口で言っているが、口先だけで、ばら撒き、日銀に国債を買わせるという禁じ手の形での借金積み上げは継続するつもりでいる。
　それも公共事業頼みでは乗数効果はなく、日本の財政がギリシャ化するのは必須であろう。
　

　自民党の野田聖子総務会長と高市早苗政調会長が６日のフジテレビの番組で、表記の件について論争した。
　野田が、女性の社会進出を促進するためには、たとえば内閣の閣僚選出に女性枠を比率で決めることも必要だと述べた。
これに対して高市は、女性にゲタをはかせるのは過渡的な策であるが、平等の観点から好ましいことではない、と反論した。
　男女平等社会だから、比率的に平等に扱うべき場合はある。世論調査、アンケ－トなどではそうであるが、場合によってちがう。
　野田が例にあげた閣僚などは、男女比率平等になどの考え方は全くナンセンスだ。
　閣僚は、国政の一つの分野の指導者となって、多数の官僚を束ねなければならないポストであるから、これに必要な知識、経験、知見、見識を備えた者でなければなせらない。
　男女の頭数を平等にすればよいというのは雑駁極まる暴論
である。
　村上新八

　中国政府はこのほど、法を踏みにじる制度だとして悪名高かった人権無視の極みである「労働教養制度」を廃止することを決定した。
　習均平体制は「法事国家」の実現を掲げているが、それは今までが、そうではなかったというこだ。
　　この制度は、政府批判者は、裁判を経ないで、警察の一存で実質的な懲役刑服務状態にすることを認めるものである。つまり法を踏みにじることを認める公的制度であったのだ。
　先に起こった「南方週末」の自由、民主を求める論文を政府が書き換えさせたのもその一例である。
　この問題に対する抗議に負けて「労働教養制度」の廃止を決めたものであろう。が、政府批判者を精神異常者として精神病院に放り込むようなことは以前行われているのだ。
　このようなことがなされている限り、今度の「労働教養制度」の廃止も見せかけに過ぎないものと断ぜざるを得ないのである。
　村上新八