集団的自衛権に関して、今会期中に閣議決定を出したい自民党は与党協議のための閣議決定案を提起した。
　「わが国に対する武力攻撃が発生するか、あるいは他国に対する武力攻撃が発生し、これによりわが国の存立が脅かされ、国民の生命及び幸福追求の権利が根底から覆されるおそれがある場合」というものである。
　しかし、「わが国に対する武力攻撃」は個別的自衛権で対応できるから、書く必要はない。
　「他国に対する」と「おそれ」という言葉が問題である。
　他国というと同盟国とは限らず、東南アジアでも中東をはじめ、世界中に拡がりかねないし、「おそれ」というのは予想だから、ときの政府による恣意的な判断で決まりかねないしろものである。
　こんな条件では勝手な屁理屈をつけて、「おそれがある」と判断することになりかねないのだ。
　軍国主義時代に日本の侵略の理由としてこじつけられた理屈もすべてこの「おそれ」で通したのである。
　これは平和憲法、平和国家日本を完全に否定することになるだけでなく、それこそ、国民の生命、幸福追求の危機を招くことになるのである。
　村上新八