１２０カ国以上の共同提案で、イスラエルによるヨルダン川西岸への入植中止を求めた安保理決議案は、安保理理事国１５ヶ国中１４ヶ国が賛成したが、アメリカの拒否権によって葬られてしまった。
　イスラエルによる国際法違反の入植中止は、中東和平協議の大前提であり、パレスチナとしては絶対に譲れない一線である。このことはアメリカは２００％承知しているにも拘わらずこのような不条理極まる対応をすることは絶対に容認できない。
　アメリカのライス国連大使は、「この拒否権行使は、イスラエルの入植を是認することを意味するものではないが、このよう形で解決しようとするのは良くない」などと、苦し紛れに、わけの分からないことを言っている。
　この拒否権行使がムバラク辞任による中東和平協議の空白をうめるためであるとしても、これがイスラム過激派の怒りの火に油を注ぐことになるであろうことだけは確かであり、米国の中東での地盤沈下は免れまい。
　村上新八