ASEANと中国は、２０日、南シナ海の南沙諸島領有権をめぐっての協議で、高級事務レベルでの協議を継続することで合意した。SASEANが主張した「多国間協議」の文言は、中国側の主張を入れて盛り込まれないままであった。
　新聞は、これを「緊張緩和の第一歩」と評価しているが、そうは思えない。
　こんな交渉は、何年掛るか分からないものだから、時間は充分ある。ここで合意をしておかないと、アメリカが介入してくるから、それを防ぐために、中国の損にならないような形にして、譲歩したいう振りをしたに過ぎないのだ。
　ずるずると協議を引き延ばしておいて、その間に軍事力を一層強化して、これを「脅し味」に、ASEAN諸国を屈服させ、南シナ海の覇権を確立しようとの中国の意図があると考えるべきである。
　こういうやり方は、中国の常套手口なのである。
　村上新八