大震災、超円高、１０００兆円の借金、世界同時不況、少子化、高齢化、ねじれ国会、と五重、六重の難題を抱えて、四苦八苦する政権を運営しなければならない野田首相が、施政方針演説で「政局思考より大局思考を」と野党に訴えたのは、全く正論である。
　これは野党だけでなく、与党内での反対勢力に対する訴えでもある。
　この問題に関連して、かってねじれ国会で、同様の苦しみを経験した、福田、麻生の両元首相の、「与野党協議による解決こそ国民の付託に答える道だ」との言葉を引用して協力を訴えた気持ちも分かる。
　当時の野党であった民主党も、この福田、麻生の呼びかけには、鼻も引っ掛けないで、当時の与党を苦衷に追い込んだことも事実である。そのことについては、民主党の岡田大臣も、「俺達も野党時代はそうであったが、今は反省している」と述懐しているのだ。
　税と社会保障一体化の問題については、与野党考え方は同じなのだし、ねじれ国会で与党として同じ苦しみを味わったのだから、このような重要な国策については、「ざまあ見ろ、解散しろ」と言う前に、与野党の壁を越えて協議し、共同して政策推進するのが真の政治家というものであると思うが。
　村上新八