財政破綻でデホルテの危険に直面していたイタリアで、学者のモンティが首相となり、政治家閣僚を一人も入れないモンティ内閣が組閣され、改革に乗り出してから、危機回避策が成功し始めている。
　そのモンティ首相が来日中だが、彼の発言で一番印象的であったのは「私は政治家ではないから、政治のしらがみや国民からの票集めための人気取りを考える必要なく、国と国民のために最善であると考える政策を、国民に良く説明し、実施できたことである」と語った言葉である。
　更に、「政党が考えていた以上に国民は成熟している」とも彼は言っている。政治家としての欲がない学者モンティの説得には、国民は、色眼がねを掛けずに素直に耳を傾けることができ、そのまま素直に聞き入れることが出来たのであろう。それも成功のポイントになったのであろう。
　日本も学者を使ったことがある。小泉内閣の竹中平蔵である。が、これは失敗であった。癖の強い政治家小泉の手下として政治臭が強すぎたためである。
　その意味も籠めて、上記のモンティ首相の一言は、いろいろな意味で、何度も反芻すべき金言であると思う。
　村上新八