この問題は、住民が納得できる形で再稼動を決めることなどあり得ない。その根本原因は、政府や電力会社の透明性とか対策の周到度とかいうことでなく、規模も時期も分からない天災の恐怖と、放射能被害の大きさにあるからである。何かが起こった際に責任を取るといっても、被害を取り返せるわけでもなく、全く意味がないのである。
　とんなに精緻、克明に安全対策を講じたところで、けちをつけようと思えば、いかようにも付けられるのが原発災害なのである。原発代替発電といっても、時間が掛かるし、それがとごまで需要を満たせるかも分からない。
　その一方で電力に対する最低限の需要もある。それもお天気次第だが、停電させないだけでなく、産業に必要量というものもあるし、使用燃料の如何によってコストも変わる。産業界の要望もあるし、条件によっては、生産拠点を国外へ移転せざるを得なくなる。こういうことになれば、国内の失業が増えるという問題も出てくる。
　結局は、これらを総合勘案した上での政治決断しかない、ということになるが、それにもけちはつけられる。
　時間をかければ、納得できる解決法がでてくる問題でもないし、電力を必要とする夏も近づいているのだ。
　ここまで分かったら、政治決断しかないことも分かるはずである。
　村上新八