伝統温存の意味で重要な国家遺産である「文楽」に対する補助金をカットするかと思えば、今度は、１９６５年に厚生省が決めた、高齢者の交流拠点になっている「老人憩いの家」を「今日から無しにする」と述べた。
　多発する独り住まい老人の孤独死が社会問題化しているなかで、折角うまくいっている「老人憩いの家」の補助金を半分にし、これを有料化するというのは問題である。
　有料にして一般に開放するというのだ。聞こえはまともに聞こえるが、老人以外に誰が利用するのだろうか。そのうちに利用度が低いということにして、廃止する意図でやっているものと思う。その次は「うば捨て山」でも造ろうとするのであろう。
　　大阪市は、これまででたらめなことをやり過ぎてきたから、その意味でこれに大鉈を振るうのは結構だが、孤独化が進展する老人の絆まで断ち切ろうとする橋下政策には首をかしげざるを得ない。
　橋下は、「選択と集中」を一つのスロ－ガンにしている。これは結構なことだが、これまで日本の構築に尽力してきた老人をないがしろにする国家は、一流国ではないのである。
　村上新八