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from: 弾き語りストさん
2011年04月05日 17時33分55秒
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想い出の傍らにはいつもアコギがあった
【想い出の傍らにはいつもアコギがあった】
♪弾き語りストです
アコギに関するエトセトラ。
懐かしい想い出の傍らに、いつもアコギがあった。
そんなあの頃のことなど…。
その時、ボクは森の中にいた。
いつも辿る貯水池脇の横道を抜け
すこし開けた草はらの中だ。
雑草の茂る草はら、夏の直射を避けて
枝葉の茂った大樹の木陰に入り
デイパックの中からとりだした水筒の
赤い色をした液体で喉を潤し、ひと息ついたところ。
抱えてきたギターケースの中にはYAMAHAのFG。
小道具を入れた小袋から取りい出したる
フラットピックとカポダスト。
今日は何を唄おうか。
気持ちの良いこんな日の天気にふさわしく
弾き語ったのは
〔高石ともやとザ・ナターシャセブン〕…
♪わたしを待つ人がいる♪
遠くで クマゲラのドラミング…ダラララララ。
その時、ボクは緞帳の前にいた。
照明が落ちて真っ暗な空間。
古びた木製の椅子に腰掛けて
放送部のエミちゃんの合図を待っている。
体育館の暗がりに目が慣れれば
あすことあすこに見知った顔が微笑んでいる。
文化祭の最終日、飛び入り参加の舞台の上だった。
膝の上にはMorrisのドレッドノート。
替え歌を用意してきたよ。
それじゃ歌うからね。
〔加川 良〕…
♪枚方駅前をのぞくことがあったら♪
エミちゃん、ボクの歌、どうだった?
その時、ボクは林の中の野外礼拝堂に立っていた。
ぐるりと木立に囲まれてひっそりと佇む舞台の上。
昨日は神父先生がお説教、今夜はボクの弾き語り。
欠けてひび割れたコンクリートの観客席。
夜露に濡れた冷たい席で耳を傾ける人は
誰もいない。独りよがりのワンマンショー。
聴く人がなくても、響き渡るよ天然のコンサートホール。
こたえる人なくても、響き渡るよボクの歌声とアコギの音。
肩から下げているのは先輩から貰ったBlueBell。
Capo=2で弾くからね。
ゆっくりしたテンポがいいんだよ。
〔吉田拓郎〕…
♪君が僕を嫌いになったワケは♪
クマザサのすき間から光る二つの眼がすぐ消えた。
その時、ボクは雨あしを気にしながらテントの中にいた。
時折、吹き込む風は水気を含み
足元や手の平に冷たくあたる。
商店街のお祭りによばれた小さなライブ。
にわかセットの機材でも
素人の歌うたいにはお釣りがくるほど嬉しくて
ハモニカ吹き吹き、さあて始めましょうか。
通りすがりの好奇の目にも
少しは慣れ始めたころには
いっそいつもよりくつろいでしまう自分が
本番弱し、の汚名返上でくすぐったい。
シールドつないで弾いているのはYAMAHAのサイレントGuitar。
これ持ってきて良かったこんな雨の日は、
ほんとこれなら雨粒気にせず良かった、と。
隣のアコギ弾きが自分のアコギを抱えてぼやいてみせる。
〔ディランⅡ〕…
♪俺のあん娘はタバコが好きで♪
ドゥビドゥビとは唄うけど、ほんとは喫うのも嗅ぐのも嫌いだよ、タバコって奴は。
その時、ボクは独身寮の大浴場にいた。
入浴時間の終わった更衣室。
湿った汗とホコリの臭いが少し気になるけど
ここは絶好の録音スタジオ。
ふと思いついた自主制作のオリジナルテープ。
テレコを持ち込んで、
椅子とアコギがあればセット完了。
寮生が誰も来ないことを祈りつつ
一発録音で弾き語りを録り溜めめていくのさ。
ミスれば、もう一度テープを巻き戻して録音し直し。
いまじゃ旧世紀時代のアナログ環境だったけど
一発勝負の緊張感が心地良く
録りだめしてゆく積み重ねの作業もなぜか楽しい。
風呂場の臭いが付くのを気にしながら弾いていたのは
KASUGAのウエスタンタイプ。
古き良きオールド・ジャパンギター。
〔John Denver〕…
♪This Old Guitar♪
空にあこがれて空に散ったCountry Boyだったよね。
その時、ボクは下宿屋の2階のうらさぶい部屋にいた。
あらかた荷物は送ってしまい、
残っているのは身の回りのもと寝袋と、そしてアコギだけ。
就職が決まって旅立つ前夜は
先を越された隣がの奴が流す、
いつものあの曲も聞こえない。
故郷の兄貴に初めての子供が生まれたと
電話を取り次いでくれたのは大家のおばあ。
昼の弁当付きの一日三食。
それが良くって4年も暮らしていた。
夜のギターはやめてくれ。
酒盛りはせめて週末だけにね。
家賃を溜めたらいけないよ、どうせあの店で
飲んじまったんだろう。
小言も懐かしい大家のおばあ。
明日の朝一番の汽車に乗る。
最後の夜に弾いていたのは、
質屋で見つけたFlavor。
日本製っていうだけの出自も不明な一本さ。
〔松山千春〕…
♪夢なら、いまもこの胸のなか♪
いまなら分かるよ痛いほど、この歌の気持ちがさ。
アコギに関するエトセトラ。
懐かしい想い出の傍らに、いつもアコギがあった。
そんな懐かしい日々が、これからもまた新しい想い出に
なってゆくだろう。
それじゃ、また(*^^)v
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