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from: 弾き語りストさん
2012年04月13日 16時54分16秒
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【熾火に炎の風となろう】
★弾き語りストです。
先日、とある定例の70年代フォークの集まりで、
初対面の歌唄いとセッションをする機会を得た。
しゃべりといいアコギ(この日はYAMAHA CPX-15)の腕前といい、
実に場馴れしてかつテクニシャンの人であった。
なによりその声量が素晴らしかった。
よほど日頃の練習をしっかりやっているのだろうと思われた。
彼とて普通のサラリーマン(有名企業の関連会社の営業係長職)であり、
そうそう趣味の弾き語りに時間が割けるわけでもなかろうが、
あの声量で唄い続けてもいっこうに枯れない声帯は、まちがいなく訓練のたまものだろう。
オレもどちらかといえば声量がある方だと密かに自信があったが、
いつしか、恒例の「カラオケ二時間声だし練習」を怠っていたせいか、
彼と二曲だけセッションしたのみで、そのあとの一曲で〝急性声変わり症候群〟に見舞われてしまった。
単なる井戸のカワズであったわけだ。
やはり、自宅でちょこちょこと唄っているくらいでは声帯は鍛えられない。
以前には、ライブの前には必ず小一時間はカラオケルームで声だししたものだが、
どういうわけかそれが本番でさして効果がないケースがあった。
オレの場合、
カラオケで一時間ほど、かなり力の入った、高音部中心の歌を唄うと、
いったん声帯が枯れた状態になる。
しかし、さらに延長一時間も歌うことで今度は、こなれたノドちんこというか声帯そのものが、
開き切るのか、楽に声が出せるようになる。
つまりは、声帯のアイドリングに相当するわけで、
そのあと、本番に向かえば、声枯れすることなくオリジナルKeyで高音が出せた。
ところが、
ライブの開始時間によっては、昼前じゃないと開店しないカラオケには行けないことが多くなった。
そうすると、会場への移動時間も計算して、せいぜい家でチューニングを確認し、
軽く指慣らしのスケール練習をする程度で、ぶっつけ本番というケースが増えてしまった。
年間30回前後のライブでは、少ないステージで3曲、多いステージだと10曲くらいの弾き語りとなる。
想像だけど、プロの歌手が、コンサートに出演する場合には、
何時間も前に楽屋入りして、かなり入念に声だしなどのウォームアップするのだろう。
オレのように、日ごろの鍛錬が不十分だと、本番前の声だしが逆効果で、
かえって本場で声がでなくなるということも想定される。
本番が2~3曲なら、かえって事前の声だしなどしないほうが、トラブルなしで突破できるかもしれない。
ところが、それ以上の曲数となると、それなりのスタミナも必要だし、
なにより十分な声量と高音質で唄いきることなくしては、自己満足も充足されはしない。
なーにお、素人の禿げ親ぢがエラそうなことをと鋭く突っ込まれるのを承知で言えば、
少なくても人前で自分の歌を聴かせようとするのなら、それなりの練習は「必」なのだ。
さて、話は変わるが、ギター譜、つまり弾き語り用の楽譜のことだ。
最近また、新たに古書・古本の類のギター譜を入手、あるいはNetオークションにて入札中だ。
元・かぐや姫の「南こうせつ」 のギター譜(協楽社刊)はすでに手もとに届いてから、二曲ほど練習を始めて、
来週のC市の定期ライブでネタ曲として弾き語りする予定。
ベスト40曲を収録した「アリス」 (ドレミ楽譜出版刊)のギター譜も練習を開始したが、
有名曲よりは(あくまで自分の知る範囲で)あまり知られていない、いわば〝B面〟曲を中心に、
練習していこうと決めている。
「山崎ハコ」 の弾き語りギター譜(協楽社刊)は、ある方が押し入れに仕舞っていたものをNetオークションにかけられたものを、
偶然見つけて破格の入札額で譲っていただいたもの。
あの「超個性的」な山崎ハコの世界を、コピーなどとおこがましいことを考えず、
その詩とメロディを自分の声と唄い方でなぞってみたい。
定番だが「さだまさし」 のギター譜(ドレミ楽譜出版刊)も落札できたら、改めて取り組んでみたい。
実は、「さだまさし」 モノはすでに三冊の楽譜を持っているが、
ベスト曲版だけに、どうにもあの〝長編小説的〟楽曲は途中で息切れがしてしまい、とてもライブ向きではなく、
いつも中途半端なままにほっぽらかしている。
ソロになってからの「さだまさし」のEP〔道化師のソネット〕までのこの全曲集から、
できれば、「短編・中編」くらいのライブ向きの曲を見つけてモノにしたい。
さらにもうひとつが「イルカ」 のギター譜(協楽社刊)だ。
正直なところ、昔から「イルカ」は苦手だった。
小柄でTARAKO声で幼な顔のくせして妙に姉さんぶったような性格や、
(名曲cover以外に)そうたいしたヒット曲もない(あくまでオレの主観)くせに
70年代フォークの大御所の一員ぶるのが鼻について仕方なかった。
そういう「〜くせに」の難癖をいくつもつけながら「イルカ」を白眼視していた。
これまたオレによくある先入観というもので、
ここはひとつ、「イルカの世界」にも竿を差すべきではないか、と思い直したワケ。
最後にもう一冊。
「小椋佳 楽譜全集」 (ドレミ楽譜出版)。
アルバム「彷徨」から「渡良瀬逍遥」までの全曲集だ。
これがまた、30年以上前に発行の古本なんだが、
単に古本というだけで、まったく使用感のない完品だった。
一度も開かれず使われずそのまま仕舞いこまれていたとおぼしき美品で、
〝70年代フォーク弾き語りスト〟の自分にとってはまたとない極上品なのだ。
〔小椋佳〕今年68歳、東京・上野生まれで東大法学部卒、元・第一勧銀のエリート行員。
例によって、そんな肩書と妙にこじゃれたセンス表出の楽曲に、
オレの嫉妬心と苦手意識が首をもたげて、彼のメジャー曲以外は見向きもしなかった。
それでも、71年〜77年までの、
まさに〝70年代フォーク〟ど真ん中の楽曲は、
さすがのドレミ楽譜出版編集の譜面と相まって、浅知恵の先入観など吹き飛ばすもののようだ。
また、届いたばかりで練習の手もつけていないが、
小椋佳、28歳〜33歳までの、まさにその才能のほとばしりが最盛期の彼の世界。
そこに足を踏み入れてみたい。
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「松山千春」「中島みゆき」「よしだたくろう」「N.S.P」「ふきのとう」…、
「風」「かぐや姫」「五つの赤い風船」「西岡たかし」「アリス」「南こうせつ」…、
「山崎ハコ」「小椋佳」「さだまさし」「イルカ」「グレープ」「泉谷しげる」「井上陽水」…、
いま、自分はこれら珠玉の70年代フォークの旗手たちの古い楽譜をネタに、
知らなかった名曲を一つずつ弾き語りしてゆこうと思っている。
それらは紛れもなく古くてカビの生えた埋め木だが、
古書である楽譜の中で熾火のように新たな風が吹くのを待っていたのだ。
オレはその風になろう。熾火を起こし静かな炎を立てる風になろう。
それじゃ、また!
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