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弾き語りストの独り言

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公開 メンバー数:7人

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  • from: 弾き語りストさん

    2012年05月18日 10時45分54秒

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    1975年製のTakamine→それが「Elite」。入手せり♪



    今年は初夏になってもなぜだか一向に暖かくならなくて、
    いまだにズボン下(死語?)が脱げずにいる、そんな★弾き語りストです。

    お元気ですか?
    そして、いまでも手鼻がかめるよ、と言ってくださいますか?
     by あべ しずえもん

    18本目のGuitarを、ヤフオクで入手した。
    それが、1975年製の〔Elite TW-30〕だ。

    〔Elite=エリート〕は、エレアコGuitarで今や世界を席巻している、
    かの〔Takamine=高峰楽器製作所〕が、60年代から70年代前半にかけて使用していた、Guitarのブランドだ。高峰には同時期に〔Nashville〕というブランドもあった。

    Takamineの〔Elite〕シリーズは、当時のカタログをNETで探して見てみると、
    TW-16からTW-100までのlineupがあり、
    今回入手した〔TW-30〕は、まあまあのエントリークラスに位置。

    〔TW-30〕の発売当時の価格は30,000円。
    ちなみに75年当時の大卒初任給が約100,000円。
    いまだと、首都圏以外の都市で、大卒初任給は約200,000円前後なので、単純に換算すると、今なら70,000円くらいのGuitarに相当する。

    いろんな人がいろんなところで書いているけど、
    70年代の国産HandクラフトのGuitarと、2000年代に換算して同価格帯となるGuitarとは、単純には比較できないという見方がある。

    今や、国産ブランドの低価格帯のGuitarは海外生産(中国・台湾・インドネシアほか)が当たり前で、生産国の技術力・製造環境次第とはいえ、国内製造のハンドクラフトとそれとの仕上がりの差は大きいといえる。

    今よりもGuitar用材が豊富で、国内のGuitar職人の技術が十分に発揮されていた時代の、日本のGuitarが、オークションで高値取引されるのは、それなりの理由があるわけだ。

    多くのGuitarフリークが愛用する〔Takamine〕brandを生産する、
    高峰楽器製作所は、1950年代終わりごろに岐阜県でGuitar工房を設立したのが、その始まり。

    くだんの〔Elite〕や〔Nashville〕というブランドを使用していた時代には、〔Gibson〕や〔Gallagher=Doc Watsonが有名〕、〔Martin〕といった海外ブランドのコピーモデルを生産。

    今回、入手した〔Elite TW-30〕は製造後三十年以上を経過しているが、出品者掲出の写真を見る限り、保存状態も良く、ボディに小キズややや大きな打痕・へこみはあるものの、
    まずまずの「美品」と言える。

    UsedのHardcaseも付属していているので、湿度調整剤を入れて保管ができる。

    古いカタログに掲載されているSpec.は、
    Top:spruce(合板のようだ)、Side&Back:rosewood(同じく合板)、Neck:mahogany、
    指板・bridge:rosewood 弦長:644mm とある。

    Backの仕様が、〔Martin D-35〕と同じくthree-pieceになっている。
    rosewoodの柾目と板目を組み合わせているが、センター部分の木目がきれいで、半可通の知識ながら、〔ハカランダ〕のようにも見える。

    用材が現在よりも豊富な時代なので、
    もしかしたら、このthree-pieceバックが、
    「rosewood×Jacaranda×rosewood」だったりするとすごいことだ。
    単にrosewoodの柾目×板目の組み合わせだったにしても、けっこういい感じだ。
    ※サイドのrosewoodの木目もキレイなものだ。

    ブラジリアン・rosewoodと呼ばれる「Jacaranda=ハカランダ」は、
    1960年代後半以降、ブラジル政府が原木による輸出を禁止しているから、60年初頭創業の「高峰楽器」が、Jacarandaの原木・製材を入手していてもおかしくはない。

    そして、本家Martinに倣って、貴重なJacarandaを使うために、three-pieceバックを採用したとも考えられる。

    ※ちなみにブラジル政府のJacarandaの全面輸出禁止は1993年以降。
    ※希少価値の高いJacaranda使用の古いアコギは高値で取引される。
    ※赤茶・紫・黒が混ざり合ったような美しい木目。rosewoodより硬質で、音の跳ね返りも良く、
    倍音を多く含んだきらびやかでコシのある音色が特徴。

    ボディとネックにはセル・バインディングが施されている。
    経年変化により黄ばみが出ているが、入手後、ワックス等で手入れしてみよう。

    タバコのヤニは落とせる可能性はあるが、経年変化の〝黄ばみ〟はムリだともいう。
    bridgeの形状も丁寧な仕上げであるし、Neckの接合は量産型の「ダボ式」ながらone-pieceのように見える。

    フレットは経年の使用跡がみられるので、これまた入手後、専用の磨きpaperで研磨が必要。

    指板の減り具合は確認できないが、とりあえずレモンオイルで汚れを取る。弦高設定値が、6弦3.8mm、1弦3.1mmと高いので、まだ余裕のあるというサドルを削り、最低でもあと1.0mmは下げて、6弦2.8mm、1弦2.0mmの適正まで持っていきたい。

    それと、写真からははっきりとは視認できないんだが、
    ナットの形状がなにやら「Scalloped」を施しているように見えるのだ。

    Scallopedのナットというと、最近では、台湾の「Naga-Guitar」が有名だが、あれほどのはっきりした感じではなく、もしかしたら撮影時の光線加減もしれないけど、
    なにかの工夫がなされているナットのようなのだ。

    Scallopedナットは、手工ギターの製作ではよく採用されている処理といい、各弦の音の分離が向上するらしい。
    去年、実際に楽器店で〔Naga Guitar〕を弾いたことがあるが、
    音の分離がどうだったかなんてよく分からなかった。

    Scallopedナットそのものは、古いスパニッシュGuitarにも見られる処理で、customオーダーやリペア依頼時に、NutだけでなくサドルもScalloped加工する場合があるという。
    もし、〔Elite TW-30〕にその処理が施されているとすれば、大したもんだ。

    Guitar工房が発祥の「高峰楽器製作所」であるから、
    製造工程には随所に職人らしい工夫が施されていて当然だろうけど、
    あまりに絶賛評価を期待してしまうと、実際に手にした時、肩すかしだったりすると落胆が大きくなるかも。

    さらに出品者のコメントによれば、
    当時の職人の技が十分に活かされているためか、全体的な造りはとても良い。音は、YAMAHAのFGと比べて、音量は大きくはないが温かな音質が特徴でしょう。
    とのこと。※当人は、ベーシストでアコギは専門外というが。

    70年代、世は一大フォークブームで、それに呼応するように、
    日本国内には多くのGuitarメーカー・ブランド・販売会社が乱立していた。

    YAMAHAやMorrisといったmajorブランドのほか、
    Morales・Yamaki・cat's eyes・K.Yairi・ARIA・Maruha・
    K.country・Thum・Jagard・three S・Headway・Bluebel・
    Kansas・TAMA・Kiso suzuki…などと、メーカー名とブランド名をごっちゃに羅列してるが、
    実にたくさんのアコギ・ブランドが群雄割拠していた。

    「Old Japan Vintage」として、
    当時の古い日本のGuitarをなんでもかんでも希少価値の高いものとして珍重する向きもあるが、
    集めるだけで弾かないコレクターならいざ知らず、
    当時の品質の良いGuitarを手に入れて実戦に使おうという自分などのような弾き語りストにとっては、
    「美品・美音質」のOld Japan acogiが手に入れられることは至上の幸運だ。

    70年代に、岐阜の高峰楽器製作所の職人たちが作り上げた、
    この〔Elite TW-30〕が、果たしてどんな音色を聞かせ、そしてどれほどの弾き心地なのか、
    新入りのアコギを待つ時間は、いつもながら期待と不安で溢れている。

    高品位の用材を良く乾燥させて組み合わせ、最適な製造環境の下、高度な技術力を駆使してアコギを造れば、きっと良い音がしてかつ弾きやすいことは想定できる。

    まさにアコギメーカーが意欲的な時代のものであれば、メーカーのチカラも入れまくりだったろう。

    何はともあれ、受け取るのが楽しみな、〔Elite(Takamine)TW-30〕である。

    それでは、また♪(*'-^)-☆





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