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from: 弾き語りストさん
2012年09月14日 15時31分22秒
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【元:鉱山師 因幡晃 B型の情感に学ぶ】
〔因幡晃〕のGuitar譜である。※Pho参照.
見ての通りの、正統派(?)の〝古本〟だ。
背束が破れ、糸かがり無線とじがあちこちほつれ、ヤケ・書き込み・破れ・染みなど、多数あり。
前持ち主の性格を非難しても仕方ないが、あんまし几帳面なタイプではなかったようだ。
コーヒーなど飲みつつギターを弾いたり、ページの開き方も乱暴で、汚れた手のままページを繰っていたと推察。
かといって楽譜を十分活用したかというと、何か所かにコード転換した書き込みや、
自分だけにわかる記号が書かれたりしていて、それなりにGuitarを得意としていたことがうかがえはする。
同じ古本の楽譜でも、〝使用感のない美品で高価〟よりは〝めちゃめちゃ手垢つきまくりだけど投げ売り価格〟の方が、
どっちか選べといわれりゃその方を選ぶけど、大事に育てられてやむなく里子に出した雑種の子猫と、
いたぶられた果てに路上に放置の純血種に、一瞬思いを馳せて心中なにやら複雑なオレである。
それでも、張っておいた楽譜探しの網にかかったこの〔因幡晃〕をば、
Netオークションで見つけて、すかさず入手したのはいつものこと。
状態が悪いと敬遠する入札者も多いが、な〜に、中身重視なので、
修復不可能な破れや、取り返しのつかないページ脱落など、致命的状態でじゃなければ、躊躇しないで入札するオレ。
書籍補修用の、ポリプロピレン製セロテープで破れた箇所をひとつづつ貼ってゆく。
(ポリプロピレンのセロテープは透明で丈夫、乾燥・変色しにくく、時間が経過してもぺろぺろにならない優れもの)
ほつれかけたページの綴じをcenterで貼りあわせ、怪我の進行を食い止める。
鉛筆の書き込みは丁寧に消しゴムでこしこしする。
これだけの対症療法で、痛んだ古本も弾き語りの実戦使用には支障がなくなる。
このGuitar譜も、古本とはいえ、それなりの価格が付いていたけど、
〝必要は購入の母〟ということで、すかさず入札して、他に誰も競札してこなくて入手できたのが嬉しい。
さて今回の〔因幡晃〕である。
彼について、さっそく〔Wikipedia〕を参照してみる。
1954年生まれ、今年五十八歳のいわゆる〝アラ還〟。
75年:YAMAHAポプコンで〔最優秀曲賞〕受賞して、翌年デビュー。
現在もなお活動中の、〔70年代フォーク中期〕のシンガーソングライターだ。
もちろん会ったことなんてないけど、なんかガタイのいい強面系のおっちゃんだよね。
何回かテレビやNetの動画でみた印象。長髪でサングラス…ちょっと暑苦しくもある。
佳曲〔わかってください〕が代表曲。
Wikipediaによれば、けっこうな数のCMソングを唄っている。
残念ながら、自分には代表曲以外には〔因幡晃〕をイメージできる楽曲が浮かばない。
ひとまず、
入手したGuitar譜(日音楽譜出版社 刊)の掲載曲をば紹介しよう…。
1st アルバム 【何か言い忘れたようで】 1976年release
1.貴方のいない部屋
2.別涙(わかれ)
3.夏
4.サンデー・モーニング
5.おぼえていますか
6.S.Yさん
7.わかって下さい
8.一年前の雨
9.夏にありがとう
10.アパートの鍵
11.つかまえててよ
12.秋田長持唄
※90週以上もLPチャートにrankingされたlongセラーのファーストアルバムなんだそうだ。
※大ヒット〔わかって下さい〕に象徴される男女の抒情の機微をせつなく表現するのが〔因幡晃〕らしい。
※若いころのダンディーさが表れた曲や、故郷・秋田:大館の鉱山技師時代を音楽性のルーツとした民謡まで、
〔因幡晃〕の原点がわかるアルバムなのだとか。
2nd アルバム 【暮色】 1977年release
1.暮れゆくままに
2. 思いで…
3. あの唄
4. 日めくりのカレンダー
5. いいじゃないの
6. おき忘れた喜び
7. 今日ですべてが
8. なごりのあとだけ
9. 日記を閉じて
10. だから帰るわ
※切なく、甘く、そして清々しい叙情的な恋の歌というのがこのアルバムの評。
初期の〔因幡晃〕作品としてファンには必聴・必携のものだという。
ということは、
今回入手したGuitar譜は、代表曲をはじめとして〔因幡晃〕というフォークシンガー&ソングライターの原点を探るのに最適のもののようだ。
〔70年代フォーク〕の一人と言う認識で手に入れたが、〔わかって下さい〕くらいしかまともに聴いてないからか、
〔因幡晃〕には〝北国の冬の鉛色の重く分厚い空雲〟というようなイメージ・先入観がまとわりついているオレ。
得てして〔70年代フォーク〕にはいわゆる〝情緒的・根暗などよ~ん系〟ソングも多いが、
それまでさして深く聞いてこなかったフォークシンガー&ソングライターたちのGuitar譜を入手したこれまでの経験から、
代表曲が必ずしもそのシンガーの真価を象徴しているものでもない、ことも分かってきた。
有名曲をとっかかりに作品集であるところのGuitar譜を見て行くと、
知らなかった曲の中に「こんないい歌も唄ってたんだ」というものをけっこう見つけることがある。
それが自分の声質に合っていて、好きなメロディラインだったりすると思わず〈お宝発見!〉とほくそ笑んだりする。
拾ったボロい財布の中身が意外に多かったみたいなもので…。
〔因幡晃〕はB型とのこと(オレ、血液型の信ぴょう性支持者です)、その容姿・風貌と相まって、B型らしい頑なで独創的な指向を感じるが、
そこから生み出される〔わかって下さい〕以外の、意外な〝名曲〟というもの。
それを、このボロくて汚れてホコリ臭い、古いGuitar譜の中から探し出してみたい。
ということで、最初の練習曲は1stアルバムから〔S.Yさん〕。
実はコレ、かの〔尾崎 豊〕がcoverしていることが今回わかった。
オレは尾崎ファンの世代ではないが、彼が唄えばいかにも学生時代のチクチクと胸痛するような雰囲気なんだろう。
尾崎ほどにも、ましてや因幡ほどにも、情感たっぷりに弾き語りする力は自分にはないが、
この〝学生時代、イニシャル、初恋、〟みたいな一連のキーワードからは、自分もあの頃のいろんなシチュエーションが思い当たるものだから、
技巧凝らさずに普通に唄っても、しみじみとノスタルジックに浸れる弾き語りができるのではないだろうか。
今回、Netオークションの同じ出品者から、
〔日音楽譜出版社〕のGuitar譜を二冊、〔小室等〕とこの〔因幡晃〕を手に入れたわけだが、
ともに同じseriesのGuitar譜で、きちんとした採譜・譜面layoutになっていて、〔ドレミ楽譜出版〕ものほど精緻なものではないものの、
弾き語りストにとっては〝即戦力〟として十二分に活用できる、とても良いものでありました。
Guitar譜の形式にも人それぞれに好き好きがあるだろう。
耳コピできるくらいの実力の人なら、メロディ譜とコードさえあれば十分に実戦演奏できる上級者もいるし、
オレなどのように、「メロディ譜+コードダイヤグラム+ギター譜+歌詞全文掲載」でないとまともには弾き語りできない不器用ものもいる。
知っての通り、第一次フォークブームであり空前のアコギブームであった〔70年代〕に発行されたGuitar弾き向けの楽譜の中には、
端から弾き語りを指向するものに向けた編集方針で編まれた〝力作・秀作〟がたくさんある。
一方で、原曲Keyそのままのコードネームとメロディ譜をただ単に載せて、譜面の判型も小ければ歌詞も小さい…、
「本当にこんなんで弾き語りできると思ってんのか」みたいな、〝歌本に毛の生えた〟レベルの編集ものもある。
もちろん出版社側はニーズを選別して、それぞれに合った編集・発行をしているんだろう。
だからオレたち弾き語りストの側が適宜、取捨選択していけばいいだけの話だが、
欲しいフォークシンガー&ソングライターの楽譜が必ずしも〝上等編集〟であるとは限らず、
ネタ曲としては欲しいが実戦不向きじゃ〝オビ・タスキ〟だよな、というケースも多い。
ともあれ、今回、ようやく初めて見つけた〔小室等〕〔因幡晃〕のGuitar譜が、
〝上等編集〟の〔日音楽譜出版社〕のもので、ほんと、イカッターー♪
それじゃ、また!。.:♪*:・'(*⌒―⌒*)))
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