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from: 弾き語りストさん
2013年02月08日 16時23分59秒
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〔たくろうの七万五千円の右手、オレの千円のGuitar〕
〔よしだたくろう〕初期のレアな一曲に、
〔七万五千円の右手〕という、フィンガーピッキングの曲がある。
こんな歌詞だ......、
♪キミの右手って 太くていやらしいね ボクの右手を 見てごらん
こんなに汚れて マメだらけ でもいいんだよね このままで
ギターを弾くんだから キミの右手と おなじほど 大切な ボクの右手なんだ♪
初期の〔よしだたくろう〕の楽曲には、
この曲のように、短くてとてもユーモラスな曲がよくある。
たとえば、
名盤〔元気です〕に収録の〔馬〕などもこの類だが、
同盤の〔せんこう花火〕などは、短いながらも詞・曲ともに秀逸な
〝名曲〟の一つである。
さて、冒頭の〔七万五千円の右手〕というタイトルについて。
この〝七万五千円〟が何を意味しているのか、という疑問には諸説があるらしい。
当時、拓郎が使っていた〔カワセ楽器製〕のGuitarの値段だという説。
〔エレックレコード〕の社員だった当時の拓郎の給料だという説。
はたまた、大学生(広島商科大:現 広島修道大)だった拓郎の学費だったという説。
歌詞から推測すれば〝Guitarの値段〟とするのが順当だし、オレも昔はずっとそう思っていた。つまり、七万五千円のGuitarをこの右手で弾いているんだと...。
でも、右手一本で給料を稼いでいるという解釈もあながち的外れではない。
汚れてマメだらけの自分の右手がどれだけの価値があるかと自問して、
それを給料に換算するのは、プロ野球の投手にも共通している。
〔よしだたくろう〕はこの曲で右手にマメができるほどGuitarを弾いていると唄ってるが、
どれだけ弾きつづければ「右手」に〝マメ〟ができるんだろう。
左手指先に〝Guitarダコ〟ができるのは自分もそうなので分かるが、
右利きの弾き手の右手にマメができる?って、
拓郎はどんなフィンガーピッキングをしてるんだ!
それはさておき、
〝拳ひとつでン億円〟のプロボクサーや、
〝ペン一本でン億円の〟売れっこ漫画家、
はたまた〝親指一本で豪邸新築〟のパチプロ、のように
世の中には必要最小限の元手、あるいは道具でもって、大金を稼ぎ出す人がけっこういる。
実はオレも先日、右手のマウスひとつでNetオークションに参加し、
見事「千円」で、〔WASHBURN D-15〕という米国brandのGuitarを手に入れた。
千円稼いだんじゃなくて千円使ったというのがちょっと違うが...。
で、くだんの〔WASHBURN D-15〕というUsed Guitar。
ま、落札後の出品者の対応が「最悪」で、初っ端からミソがついちゃったが。
なにしろ、入金確認後に「発送連絡」をまったくしてこないのだ。
初回のメールに、「入金確認後5日以内の発送を努力する」とあったので、
ま、普通の取引でも、「中5日の発送」って、けっこうかかり過ぎな気もするが、
水曜・土日が発送業務休み、かつ雨が降っても休み、という体制らしいので、
しゃーないなあと思いつつ、しばらく待っていたのだ。
それでも、発送予定を知りたいので連絡してみると、「返信無し」。
そこで別な方法で連絡するも、これまた「返答無し」。
どうなってるんだ!大阪の「 I 倉庫」のR.Iよ。
わざわざこっちから、電話賃かけて確認するのもおかしな話だ。
今回も、配送会社の最寄営業所留めにしているため、
到着後10日間を過ぎても引き取りにゆかないと、発送元に送り返されてしまう。
「追跡番号」さえ教えてもらえれば、到着日確認→可能な日に受け取り、という図式だが、
いったい発送はいつなのか、そもそも発送するつもりがあるのやらないのやら。
結局、Netオークションの「投稿欄」を使って再度連絡したら、ようやく「配送済み」という回答が来た。いよいよ無しのつぶてのままだったら、「違反・詐欺」申告するつもりでいたから、ギリギリよかったようなものだ。
ギリギリといえば、なんと受け取りに行けたのが「保管期間」ギリギリの当日。
まったく、なんて「不誠実」で「不親切」、「不安な取引」の出品者であることか。
もちろん、「評価」は「悪い」で、送信しましたけどね。
さて、肝心の「千円のGuitar」はどうであったか。
結論から言えば、「美品」には程遠い、「状態悪」のものであった。
Netオークションでの事前商品説明には、汚れ・キズ等ありとはあったものの、それ以上の「悪い」状態だった。
出品者はこれを即決価格で「13,000円」と設定していて、こんなのを即決した日には、
ぼったくりもいいところだ。それが、Netオークションのリスクでもあるけど...。
長く、物入れか倉庫の隅にでも放置されていたらしく、
古く錆びたママの弦が張られていた。
bodyトップは、汚れ・染み・変色だらけ。
bridgeも同様。bridge-pinもキズが多い。
Fretboardは汚れ、フレットもサビついている。
70年代のものに多い、古いタイプのTunerもサビが出ていた。
ボディには膨らみはなく、Neckの反りもほぼストレートだが、
これとて、新弦を張ったら、その張力でどうなるかわかったものじゃない。
出自を調べてみた。
〔WASHBURN〕自体は、創業130年の老舗:米国 楽器メーカーだが、
70年から80年にかけては、日本への販売拡大も企図して、日本のGuitarメーカーにOEM発注していた。
最近は、韓国・インドネシア・中国などで製作するタイプも多く、
それらの多くは言わずもがな、米国本国製作のモノとはくらべものにならない。
今回のGuitarも、head裏に「made in Japan」のシールが貼ってあり、
明らかに米国本国ではなく、日本でのOEM製作もの。
しかもheadの形状から、米国輸出向けではなく、日本国内向けに、
〔WASHBURN〕brandとして製作・販売されたもののようだ。
たしかに、sound-hole内を覗くと、
Backのbracingに、お約束の「George Washburn」の名前入りロゴが焼印されているし、
独特のbridge形状やpick-guardの形は〔WASHBURN〕仕様では、ある。
当時、〔WASHBURN〕のOEMでGuitarを製作していたのは、
〔YAMAKI〕あるいは〔寺田楽器〕あたりだと言われている。
どちらも、70年年代・80年代には高品質のアコギを製作していた国内メーカーだ。
※80年から85年には〔マツモク工業〕もWASHBURNをOEM製作していたらしい。
ただ、〔WASHBURN D-15〕そのものは、クラスとしてはエントリーModelであり、
輸出用の高級機などではなく、当時の価格もそれなりのものだったろうから、
もしかしたら、〔YAMAKI〕〔寺田楽器〕以外の国内メーカー製作という可能性もある。
とにかく、このいわくつきGuitarを自分でできる範囲でメンテナンスしなければ...。
弦高設定値は見たところ、さほど高くはないとみられるが、錆びた弦が張ってあるだけなので当てにならない。
まだ余裕のあるsaddleの表面にざっとヤスリがけをしてから、
次に少しだけsaddleの底を削って、6弦で2.5mmくらいには調整して弦高設定値を下げたい。body全体は、クリーナーで汚れを落とし、軽くwaxがけをする。
spruce Topは傷みがあるので慎重に、mahoganyのSide&Backの状態はさほどひどくはない。全体にかなり汚れているので、ていねいに磨きたいが、Topの塗装はハゲハゲなので...どんなものかな。
bridge-pinは、はずしてそのまま使えるか確認、ダメなら新しいものに変更。
フレットは丁寧に磨こう。専用のフレット磨きシートを使う。
Fretboardについても汚れを落として、lemon-oilを塗り込む〔bridgeにも〕。
Tuner・ペグも軽くサビ落としの処理をしてみよう。
〔Cre5-56〕あたりのサビ落としで丁寧に磨けばなんとかなるかも...。
もろもろこうした処理を施したのちに、
Martinの新弦でも張ってみて、tuning、そして「音出し」となるが、
はたして、まともにtuningができるほどにスムーズにペグが巻き上げられるか心配。
しかも、長く使われていなかったから、
新弦の張力にまけて、Bridge剥がれとかNeck反りが起きないとも限らない。
保存状態が悪ければ、まともに弾けるかどうかドキドキものだ。
どうせ千円なんだから、弾ければいいじゃん。
というのはGuitarを弾かない人の考えだ。
自分にとっては、それが千円だろうが十万だろうが、
初めて手にするGuitarを弾きく時には、いつも同じようにドキドキワクワクする。
倉庫に打ち捨てられたGuitarをきれいにして、
本来の機能である〝楽器〟として扱ってあげられるのは、
Guitar好きの冥利に尽きる。
もしもこの〔WASHBURN D-15〕が、
予想に反してすんごい音を奏でたら、そりゃあ嬉しいね。
逆に、がっかりするようなしょぼい音なら、せめて細く長く付き合ってあげることにしよう。
それじゃ、また!。.:♪*:・'(*⌒―⌒*)))
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