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from: JUNさん
2017年10月16日 00時21分41秒
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雨のち又雨
もう随分と長い時間ぼくは、
やれ映画だドラマだ音楽だと見、聞き続けてきたわけだ。
感動して涙したことも、時間の無駄だったと肩を落とすことも、
あと何年そんなことを言っていられるんだろうと、ふと思う。
柔らかい手にぴったりフィットした山羊革の薄手の手袋を嵌める。
イグニションにキーを差し込みセルを回す。
インジェクションのそれはキャブレターと違って、
何時だって常に心地良い低音をぼくに聞かせてくれる。
クラッチを絞りかかとを軽く落としローギアに入れる。
右手のスロットルを優しく撚るとマシンはスルスルと...
二速、三足、そしてトップギアへと滑らかにあげていく。
向かってくる景色は次々と後方に流れ去り、
わずかばかりの木の匂いや風の薫が鼻につく。
視界は広がり聞こえるエンジン音とマフラーからの爆音。
奏でる音楽は見事に調和されたハーモニーを奏でる。
鼻の奥がツンとし周りの景色はスローモーションのように流れていく。
五感全てで感じられるバイクという乗り物。
車では味わうことは出来ない別世界へと誘ってくれる。
単なる移動の手段なら電車や車で事足りるだろう、
剥き出しの体に受ける空気の壁。危険と紙一重だ。
荒々しくそして死という現実と表裏一体の世界。
不条理極まりない乗り物、ああなんて甘美で素敵な鉄の馬だろうか...
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