「悪いけど、この子のウジを取ってあげるように」

先生がそう指示をすると、アニマルナースたちは、コームと呼ばれる櫛(くし)のようなもので、傷口になるべくさわらないように気をつけながら、このハスキーの毛をとく。すると、コームに引っかかったウジがバラバラと落ちた。

なるべく傷にさわらないように気をつかってはいるが、とかす時毛が引っぱられて痛みが走るせいなのか、このハスキーは『オオゥ〜〜〜オオゥ〜〜〜』と鳴き、何とかしてやめさせたくて顔をもち上げ、ナースたちの手に噛みつこうとするのだが、体力が落ちすぎていて、頭を少しだけもち上げるのが精一杯だった。