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from: きなこさん
2011年12月23日 09時19分23秒
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「この子犬、私に売ってください!役立たずになったから殺すだなんてひどすぎます。この子は見た目の問題だけで、排泄(はいせつ)の障害などないのであれば、家庭犬として十分なはずです。役立たずになんてなっていないし、役立たずの命なんてこの世にあるわけがない!いくらですか!?」
私の口調(くちょう)はそうとう激しいものになっていた。女性店主は一瞬びっくりしたような顔をし、すぐに下を向いて言った。
「私だって殺したいわけじゃないんです。でも、この店ははやっているわけでもないし、繁殖犬はたくさんいるし、その子を食べさせてゆけないんです」
しかし、女性店主のこの言葉は、私には言いわけにしか聞こえなかった。成犬になっても体重が五キログラム以下にしかならない犬種である。多少無理はあったとしても面倒を見きれないとは思えなかった。
私のように、新しい飼い主を探してもいいはずである。しかし、かわいそうだ、殺したくないと言いながらも、そういう努力はせずに殺す道を考えているのである。
「いくらなんですか?私買いますから」私がなおもそう言うと、
「もっていってもらえるのなら、無料でいいです」と、蚊(か)の鳴くような声でボソッと言った。icon拍手者リスト
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