このような経験から、少し気の強い保護犬をわが家の群れの中に入れる時は、ボス犬マックを誰より優先させるようにしているが、このことで大きな問題が起きたことはない。

幸多も、このあんず方式で群れの中に入っていった。幸多は約一ヶ月ほどわが家に滞在し、新しい家族のもとへと旅立った。

マックにボスとしての態度について、ああしろ、こうしろと、私が教えたわけではない。小さい頃から他犬の出入りが多かったのと、生まれつきの才能だろう。私はこんなにすばらしいボス犬を見たことがない。彼がいるから、私は安心して保護犬を部屋に入れられるのだ。

後ろ両足の機能をうばれたマックに、神様は他の誰もがもつことのできなかったすばらしい才能を与えたのだ、と私は思う。

このマックがボスであるかぎり、わが家の小型犬の群れは安泰である。

「マック、これからも頼むよ」

私はマックに、精一杯のエールと大きな信頼、そして尊敬の心をおくりつづける。