明日出勤したら、火曜日からは４連休だから、今月いっぱいで退職するフィリップ君とは、明日が最後になる。
　部署が違うと会話する機会もないので、遠くから、ひっそりと別れを惜しむことにしよう。
　残念なのは、支配人が許可を出してくれれば、私の小説を休憩室に置くことができ、もしかしたらひょっとしたら、私の小説をもらってくれたかもしれなかったのに、その希望は潰えそうだ。
　だから、彼は二度と私を思い出さない。印象に残らなかったから。
　たとえばレオちゃんは、フロア担当の上司だったから、私とは仕事のつながりが深かった。さらに私の小説と、その後のやりとりもあるので、かなり私の印象も残っている。だから数年後、私が死んで葬式を出すことになったら、線香の一本ぐらいは上げにきてくれるはず――っていうか、上げに来い(￣^￣)
　でもフィリップ君の場合は、それらが一切ない。だから彼はもう私を思い出すことが出来ない。

　そこし恨めし by額田王

　それでも私は、フィリップ君を眺めるのが大好きでした。