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from: シニョレッリさん
2012年08月06日 11時15分28秒
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美術鑑賞の手助け(1) 大天使
今日からサークルを始めました。宜しくお願いします。
イタリア美術鑑賞には多くの約束事があり、聖書、ギリシャ神話、ヨーロッパ史などに普段馴染みが薄い日本人には中々分かり難いと思います。
ベアト・アンジェリコの傑作「受胎告知」です。コルトーナの教区博物館で展示されています。
処女マリアにキリストの誕生を知らせるのは大天使ガブリエルです。マリアの純潔の象徴として白百合を持っています。
また、洗礼者聖ヨハネの誕生を告げたのも、そして羊飼いにキリスト誕生を告げたのも大天使ガブリエルです。
フランチェスコ・ボッティチーニの「三大天使とトビアス」です。フィレンツェ・ウッフィツィ美術館にあります。
尚、絵画の画像は全てWeb Gallery of Artからの転載です。
白百合を持っている、向って右が大天使ガブリエルです。向かって左の甲冑を着て剣を手にしているのが大天使ミカエルです。黙示録で悪魔を打倒したこと、最後の審判で魂を測ることから、天秤や剣を持ち、甲冑を着て、時に悪魔を従えたり、下敷きにして描かれることが多いと思います。
真ん中に描かれているのは大天使ラファエルとトビアスです。「トビト書」を見れば、ラファエルとトビアスの経緯が分かりますが、簡単に書けば、ラファエルとトビアスは犬を連れて貸金取り立てのために旅に出ましたが、その途中で巨大な魚がトビアスを襲ったので、殺して魚を食べた時にトビアスの父トビトの目を治すために魚の胆嚢を取っておきました。このことから大天使ラファエルは病気を治したり、息子たちを仕事の旅に出す商人たちや商取引と関連付けられるようになったのです。犬と魚でトビアスが特定され、トビアスと一緒にいる大天使がラファエルと分かるのです。-
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コメント: 全4件
from: シニョレッリさん
2012年08月09日 14時06分05秒
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「美術鑑賞の手助け(4) 聖人の識別 その3」
ジョット・ディ・ボンドーネの「聖ステファノ」です。フィレンツェのホーン財団美術館で展示されています。
聖ステファノは、キリスト教信仰の為、最初の殉教者となりましたが、石打で刑が執行されたので、頭部や肩の上に石が描かれることが多い。また、死に対する勝利や殉教の象徴である棕櫚(しゅろ)の枝を持って描かれることがある。聖ステファノは石、棕櫚の枝で特定される。
ドメニコ・ギルランダイオの「聖ステファノ」です。ブダベストの国立西洋美術館にあります。
ドメニキーノの「聖女アグネス」です。ウインザーのロイヤル・コレクションにあります。
聖女アグネスはローマ帝政時代の人で、ローマ総督の息子から求婚された時、既に入信してキリストに身を捧げているので、これを拒んだ事によって処刑されました。アグネスはギリシャ語で「純潔」と言う意味で、その発音が「神の子羊(アグネス・ディ)」と似ていたので、ヒツジと共に描かれる場合が殆どとなっています。仔羊が彼女のアトリビュートになっています。
フランチェスコ・デ・スルバランの「聖女アポロニア」です。ルーブル美術館にあります。
聖女アポロニアはローマ帝政時代のアレクサンドリアの人で、歯を全部抜かれる拷問を受け、異教の神をたたえると言わなければ火の中に入れて焼死させると言われたが、僅かのすきを見て自ら火の中に飛び込んで殉教しました。歯を抜いたヤットコの様な道具と共に描かれ、それがアトリビュートになっています。
次に聖女ルチアに移ります。
ドメニコ・ベッカフーミの「聖女ルチア」です。シエナの国立絵画館にあります。
聖女ルチアはシラクーサの人で、304年に殉教しました。名前のルチアはラテン語の「ルクス(光)」に由来することから、ランプを手にして描かれる場合があります。また、彼女に熱心に求婚した男が「貴女の目が誘惑するのだ」と言ったので、自分の目を抉り出し男に与えたと言う伝説と、目を抉り出す拷問を受けたにも拘らず、彼女は目が見えたと言う他の伝説があり、皿に載せられた一対の目と共に描かれることも多いのです。ランプと一対の目が聖女ルチアのアトリビュートになっています。
カラヴァッジョの「聖女ルチア」の埋葬です。シラクーサのパラッツォ・ベッローモ州立美術館の所蔵ですが、数年前にベッローモ宮の修復工事に伴う美術館閉鎖のため、サンタ・ルチア・アッラ・バディア教会で展示されるようになりました。2012年4月に行きましたが、修復を終わった美術館は開館していましたが、カラヴァッジョは未だ教会の方で展示されていました。カラヴァッジョの作品は、元々聖女ルチアが埋葬されたサンタ・ルチア・アル・セポルクロ教会の主祭壇画として描かれ、数年前までアル・セポクロ教会の主祭壇を飾っていました。
パラッツォ・ベッローモ州立美術館中庭です。
正面が現在カラヴァッジョの「聖女ルチアの埋葬」があるサンタ・ルチア・アッラ・バディア教会です。
アッラ・バディア教会です。赤く見えるのが「カラヴァッジョ作品がここにある」の標識です。
ナポリ民謡「サンタ・ルチア」で有名なナポリのサンタ・ルチア港です。聖女ルチアはナポリの船乗りたちの守護聖人です。
ヴェネツィア・サンタ・ルチア駅です。
304年殉教した聖女ルチアはサンタ・ルチア・アル・セポルクロ教会に埋葬されましたが、後に彼女の遺体はコンスタンティノープル(コンスタンティノポリス)に移されました。その理由として、シラクーサがイスラムから攻撃を受けたのでその脅威を避けるため、単に遺体を売った、などの説があります。遺体の売買は我々日本人の想像を絶することですが、キリスト教社会では聖遺物売買は珍しくないようです。
第四次十字軍はキリスト教徒が同じキリスト教国家を攻撃した不可思議な十字軍でしたが、それに主要な役割を果たし戦勝したヴェネツィアは、聖女ルチアの遺体を戦利品として持ち帰り、今のFS駅の場所に埋葬して教会を建てたのです(サンタ・ルチア教会)。
ヴェネツィアに鉄道を通すときに、サンタ・ルチア教会の場所に駅を建設することになり、彼女の遺体をサン・ジェレミア教会に移すと共に、教会を合体させて、今のサンティ・ジェレミア・エ・ルチア教会となったのです。
ヴェネツィアのサンティ・ジェレミア・エ・ルチア教会です。教会の壁に小さな絵が見えませんか?
パルマ・イル・ジョヴァーネの「聖女ルチア」の写真が壁にかかっています。本物が教会内部にあります。
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ぐら姐、
from: シニョレッリさん
2012年08月08日 13時16分00秒
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「美術鑑賞の手助け(3) 聖人の識別 その2」
フィリッポ・リッピの「聖母子」です。メディチ・リッカルディ宮殿にあります。(下の写真)
聖母マリアは幼いキリストによって特定されます。つまり、聖母のアトリビュートは幼児キリストなのです。当たり前の様に多くの聖母子絵画を見ていますが、アトリビュートを意識したことが無く、幼児がアトリビュートとは少し意外に思えます。
アントネッロ・ダ・メッシーナの傑作「受胎告知される聖母」です。パレルモのシチリア州立美術館にあります。(下の写真は美術館中庭)
「受胎告知」は、聖母単独で描かれる場合、通常、大天使ガブリエルと2枚セットが普通ですが、この作品は飽く迄聖母単独で描かれました。アトリビュートはありませんが、女性の手、表情、書物によって聖母であることを示していると言われています。
この作品そっくりの精巧な模写がヴェネツィアのアッカデミア美術館にあります。アントネッロの甥であるアントネッロ・デ・サリバの作品です。
次に聖女カテリーナに行きます。
紛らわしいことに聖女カテリーナが二人いるので、区別するために「アレキサンドリアの聖女カテリーナ」と「シエナの聖女カテリーナ」と必ずアレキサンドリア、シエナを付けます。
ミケランジェロ・メリージ通称カラヴァッジョの「アレキサンドリアの聖女カテリーナ」です。マドリッドのティッセン・ボルネミッサ・コレクションにあります。
大釘の付いた車輪でカテリーナを引き裂こうとした時に、神が車輪を破壊したとの伝説から、大釘付きの車輪はカテリーナの車輪と呼ばれ、アトリビュートになっています。
また、カテリーナは斬首によって殉教したので、剣を手にして描かれることも多く、剣もアトリビュートになっています。
説教が得意だったので、書物を手にして描かれることもあります。
もう一つ、カテリーナには定番と言うべき画題があります。天からの啓示によってキリストの花嫁として指輪を与えられたという伝説を描いた「聖女カテリーナの神秘な結婚」です。沢山の画家が制作しています。
ドメニコ・ベッカフーミの「聖女カテリーナ(アレキサンドリアの)の神秘な結婚」です。サンクトペテルブルグのエルミタージュ美術館にあります。
聖女カテリーナの他に聖人も描かれていますが、ここでは触れず、先に行きたいと思います。
ポンペオ・バトーニの「シエナの聖女カテリーナの法悦」です。ルッカ・グイニージ邸の国立博物館にあります。(下の写真)
シエナの聖女カテリーナは裕福の家に生まれましたが、ドメニコ会に入り生涯を貧しい人々や病気の人々の救済に捧げたほか、教皇庁をアヴィニョンからローマに戻して、教皇庁の分裂解消に尽力しました。
キリストと同じ33歳でローマで急死しましたが、シエナの人々は彼女の遺体がシエナに戻ることを強く希望しましたが、許されず、仕方が無いので頭部だけを鞄にに入れて運ぼうとしたところ、検問に引っかかり、鞄が開けられましたが、鞄の中はバラの花びらで一杯になっていました。ところが、シエナに戻って鞄を開けると彼女の頭部があったと言う伝説から、シエナの聖女カテリーナはバラを持った姿で描かれるのが普通で、バラが彼女のアトリビュートとなっています。また、ドメニコ会修道女ですから、ドメニコ会の法衣を着た姿で描かれるのが普通です。
フラ・バルトロメオの「シエナの聖女カテリーナの神秘な結婚」です。ルーブル美術館にあります。
シエナの聖女カテリーナは病気になってから自身の手紙の中で「キリストとの結婚」と書いたので、この画題がシエナの聖女カテリーナにもあるのです。
両方の聖女カテリーナに「神秘な結婚」があるので紛らわしいのですが、シエナの彼女はドメニコ会の法衣を着て描かれるので区別できるのです。
ローマのサンタ・マリア・ソプラ・ミネルヴァ教会にシエナの聖女カテリーナの墓があります。写真は同教会前にある象のオベリスクです。
絵画画像は全てWeb Gallery of Artからの転載です。
カラヴァッジョの「アレキサンドリアの聖女カテリーナ」と関連して、おまけとして、このモデルの話をしましょう。アトリビュートとは関係ありません。
再掲します。
カラヴァッジョの「ホロフェルネスの首を斬るユディト」です。ローマ・バルベリーニ宮の国立古典絵画館にあります。
ユディトの拡大画像です。
モデルは同じ人に見えます。
カラヴァッジョの「フィリーデ・メランドーニの肖像」です。国立ベルリン美術館にありましたが、第二次世界大戦で焼失したとされていますが、ソ連に奪われたと言う説もある様です。
従来、聖女カテリーナとユディトはこのフィリーデがモデルと言うのが定説でした。私には少し似ていない様な気がずっとしていました。
日本に於けるカラヴァッジョ研究の第一人者である宮下先生の著書全てには、フィリーデがモデルと書いてあります。
ところが二年前、この二つの作品のモデルは殆ど無名の画家ロレンツォ・カルリの未亡人ファウスティーナであるとの新説が出されました。その後、どうなっているのか、私には分かりませんが興味津々です。
ところで、フィリーデですが、フィレンツェの貴族ジュリオ・ストロッツィの情婦を経て、ラヌッチョ・トッマソーニの女になった高級娼婦です。後にカラヴァッジョがラヌッチョを殺して、逃亡の旅に出ることになりました。何かと因縁がありますね。
さて、おまけのおまけは、昨日の「四聖人」です。
教会の中でフラッシュ無しで撮ると、画像がはっきりしません。と言う訳で、私が絵画作品の写真を撮ることは滅多にありません。
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ぐら姐、
from: シニョレッリさん
2012年08月07日 10時57分59秒
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「美術鑑賞の手助け(2) 聖人の識別 その1」
ルネサンス絵画の定番と言うべき画題に「聖母子と聖人たち」や「聖人たち」があります。
その聖人たちを特定出来れば、絵画鑑賞が更に楽しくなるでしょう。
聖人が何を持っているか、何と共に描かれているかによって、聖人が特定出来るのです。それをアトリビュート(持物)と言います。
アトリビュートは絵画鑑賞の基本中の基本で、西欧では多分常識なのでしょうが、何故か日本ではアトリビュートに言及した書物が少なく、あまり馴染みがありません。
と言う訳で、今回は老婆心ながらアトリビュートの話をします。既にご存知の方々が沢山いると思いますが、その場合はご容赦を。
ルッカのサン・ミケーレ・イン・フォロ教会です。ピサ・ルッカ様式のファサードが印象的です。
この教会の右翼廊にフィリピーノ・リッピの板絵「四聖人」があります。
左に描かれているのは聖ロッコです。ペストの治癒に力を入れたので、ペストに対する守護聖人となっています。聖ロッコは、自分の足の一部を犬に分け与え食べさせたと言われているので、足に傷をして描かれたり、時に犬と共に描かれます。足のキズ、犬などが聖ロッコのアトリビュートです。
聖ロッコの隣に弓矢を手にして描かれているのは聖セバスティアヌスです。聖セバスティアヌスはキリスト教に改宗したローマ軍の兵士で、兵役拒否をしたことで軍によって弓矢で射られ殉教したので、弓矢がアトリビュートとなっています。ただ、この作品の様に弓矢を手にして描かれることは少なく、多くの場合、下の作品のように弓矢で処刑された若者として描かれます。
ポッライウォーロ兄弟の「聖セバスティアヌスの殉教」です。ロンドン・ナショナル・ギャラリーにあります。
聖セバスティアヌスの隣は聖ヒロエニムスです。教会博士の聖ヒロエニムスは、聖書をラテン語に訳し、後で枢機卿の位を追贈されましたが、ライオンの足に刺さったトゲを抜いてやった逸話が残っています。それらの事から枢機卿の法衣である緋の衣を着て、書物(ラテン語訳聖書)を手にして、ライオンと共に描かれます。この作品でも足もとにライオンが描かれています。
右の女性は聖ヘレナです。キリスト教を公認したコンスタンティヌス大帝の母ヘレナは、真の十字架を発見したことから、十字架がアトリビュートとなっています。
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ぐら姐、
from: シニョレッリさん
2012年08月15日 08時46分12秒
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「美術鑑賞の手助け(5) 聖人の識別 その4」
私が見た作品は、画家・彫刻家毎、美術館・博物館毎に整理しており、画題毎には整理していません。「聖人の識別」を簡単に考えていましたが、上記の理由で聖人毎の適当な作品画像が中々見つからず、アップするには結構時間が掛かってしまいました。
コズメ・トゥーラの「聖ドメニコ」です。ウッフィツィ美術館にあります。
聖ドメニコは説教師の修道会であるドメニコ会を創設したので、ドメニコ会の白い修道服の上に黒いマントを着て、純潔の象徴である百合を手にして描かれる場合が多いと思います。また、額の上に星が画かれることもありますが、その星はドメニコの持つ聖性のオーラを表します。
ジョヴァンニ・ベッリーニの「聖ドメニコに扮したウルビーノのフラ・テオドーロの肖像」です。ロンドン・ナショナル・ギャラリーにあります。ドメニコ会の修道士だったフラ・テオドーロが聖ドメニコの格好をしたと言う、珍しい肖像画です。
次に聖女チェチリアに移ります。
ドメニキーノの「聖女チェチリアと天使」です。ルーブル美術館にあります。
聖女チェチリア(日本ではローマ生まれの彼女を何故か聖女セシリアと呼ぶことが多いようです)はローマ皇帝によるキリスト弾圧(ローマ皇帝の誰の時代であったかに付いて数説あって、彼女の没年は定かではありません)の際、夫ヴァレリアヌスと共に逮捕されて殉教しました。伝説によれば、彼女は楽器を奏でながらキリストを賛美したと伝えられており、その事から楽器がアトリビュートになっています。彼女の名前がラテン語の盲人を意味する単語に由来することから、音楽家と盲人の守護聖人とされています。
グイド・レーニの「聖女チェチリア」です。パサデナのノートン・サイモン美術館にありますが、私は未だ見たことがありません。大好きなグイド・レーニの作品なので、敢えてアップしました。
アルテミジア・ジェンティレスキの「リュートを奏でる聖女チェチリア」です。ローマのスパーダ美術館にあります。アルテミジアは近年評価が飛躍的に高まり、カラヴァッジェスキの代表的な画家とされています。初めてこの作品を見た時、単に「リュートを奏でる女」だと思っていました。恥ずかしながら、女性が聖女チェチリアを表すとは思いませんでした。
次は聖アンドレです。
聖アンドレは聖ペテロの弟で、キリストの二番目の使徒で、十字架に架けられて殉教したので、十字架を手にして描かれる場合が多いのですが、X字型の十字架に架けられたので特にX字型十字架がアトリビュートになっています。また、長い髪と長い髭の姿で描かれる場合が多く、大体緑色の服を着ています。
エル・グレコの「聖アンドレ」です。トレドのグレコ美術館にあります。
エル・グレコの「聖アンドレと聖フランチェスコ」です。プラド美術館にあります。
今日の最後は聖女アガタです。
聖女アガタはカターニアに生まれ、大変な美人に成長しましたが、ローマ帝国からシチリアに派遣された役人クインチアノが彼女の美貌に惚れ込み求婚したところ断られてしまいました。怒ったクインチアノはキリスト教徒であることを理由に彼女を逮捕して、拷問にかけキリスト教を棄教してクインチアノと結婚すれば罪を赦すと言いましたが、彼女は屈しませんでした。激怒したクインチアノは、彼女の乳房をヤットコで潰してからナイフで切り取るように命じました。その後、彼女は獄中で殉教しました。このことから、彼女はヤットコなどで乳房を責められる姿や切り落とされた乳房を皿の上に載せられた姿で描かれる場合が多いのです。乳房が彼女のアトリビュートになっています。
セバスティアーノ・デル・ピオンボの「聖女アガタの殉教」です。フィレンツェのパラティーナ美術館にあります。
フランシスコ・デ・スルバランの「聖女アガタ」です。モンペリエのファーブル美術館にあります。
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