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独断と偏見で楽しむイタリア芸術

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  • from: シニョレッリさん

    2013年06月09日 13時42分37秒

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    リナシメント芸術家(37) チェーザレ・ダ・セスト

    今回は少し有名な画家チェーザレ・ダ・セストを取り上げましょう。

    スカラ広場です。ガッレリア出口右の建物はマリーノ宮です。

    広場中央にあるレオナルド・ダ・ヴィンチ像を取り囲むのは、レオナルドの4人の高弟です。

    その中の一人がチェーザレ・ダ・セストです。四人の像の下に名前が彫られているので間違う事はありません。
    Cesare da Sesto(1477ロンバルディア、セスト・カレンデ生まれ~1523ミラノで没):盛期リナシメントにミラノ、ローマ、ナポリ、メッシーナなどで活動した画家。通称は生まれ故郷に由来しますが、画家としての手ほどきを何処で誰に師事して受けたか、何処の工房で修業したのか等、若いころの画風形成の過程が全く分かっていません。
    1506年(1505年との説もあります)、ローマでバルダッサレ・ペルッツィに師事して彼の工房でフレスコ装飾に従事して修行に励んだというのが、彼に関する最初の記録のようです。
    1508年ころ、ローマからミラノに戻りましたが、当時ミラノで活躍していたレオナルド・ダ・ヴィンチに感銘を受け、直ちにレオナルドに師事して工房に加わりました。当然のことながら、画風を変え、ベルナルド・ルイーニ、マルコ・ドッジョルノなどと並ぶレオナルドスキに一人になりました。しかし、レオナルドがミラノを離れると、ラッファエッロの影響が垣間見える画風に転じたようです。
    遅くても1514年までにミラノを去り、以後6年間に渡ってイタリア南部を旅行しながら、各地で制作を行いました。彼の画家としての功績は、この6年間に渡る旅行中にナポリ、シチリアなどの南イタリアにリナシメント様式を伝えたこととされています。
    1520年、ミラノに戻り、自分の工房を構えました。その3年後の1523年、僅か46歳の若さで病を得て没しました。
    彼の残された作品ですが、レオナルド作品の模写やレオナルドの下絵をもとに制作したものや、恐らく師匠の代作を行ったのではないかと推察されるものがあります。一時期ですが、チェーザレの描いた「聖母子」がレオナルド作とされていたことがありました。
    では、彼の作品を見てみましょう。

    イタリアとスイスの国境の街ポンテ・カプリアスカ(現在はスイス領)のサン・アンブロージョ教会にある「最後の晩餐」です。勿論、これはレオナルド作品の模写です。

    「レダと白鳥」(1510-15)です。ボルゲーゼ美術館の所蔵です。レオナルド作品(現存しません)の下絵に基づくというのが定説です。チェーザレの「レダと白鳥」は他にも現存します。

    ポルディ・ペッツォーリ美術館にある「聖母子と神の使いのヒツジ」(1515)です。聖母の表情がレオナルドの作品と酷似しています。

    ナポリ、カポディモンテ美術館所蔵の「マギの礼拝」(1516-19)です。

    サレルノの教区博物館所蔵の「ご生誕」です。

    「聖母子」ですがブレラ絵画館にあります。
    彼の代表作を一つ上げるとすれば、私ならばミラノ市立博物館(スフォルチェスコ城)の「聖母子と聖人たち」の大祭壇画ですが、残念ながら作品画像が見つかりません。
    レオナルド・ダ・ヴィンチ工房の受注記録が残されていないので、工房の運営法などが分かりません。詳細な受注記録が残っている、他の画家たちの工房が少なからずあって、それらの記録から推察すれば、注文主は細部にわたる注文を付けていることから、例えば聖母の顔は親方だけが描くとか、この作品は弟子の手が入ってはいけない等々、工房の規模から考えればレオナルドの作品があまりにも少なく、多分、弟子、例えばチェーザレがレオナルドの代作をして注文をこなしたのではないか、と思うのですが・・・

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