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独断と偏見で楽しむイタリア芸術

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  • from: シニョレッリさん

    2014年05月10日 09時35分24秒

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    リナシメント芸術家(56) ピエトロ・パオリーニ

    この当時の作品を鑑賞するに際して、留意すべき点の一つは時代背景でしょうね。今のように、芸術家が自らの芸術的熱意とか衝動、意欲などによって勝手に制作できた訳ではなく、殆どの場合、パトロンや教会から具体的な注文を受けて制作したのです。

    今回は、ルッカのバロック画家ピエトロ・パオリーニ(稀にパオリーノとも呼ばれたようです)を取り上げましょう。

    私が彼を注目するようになったのは、各地で開催されたカラヴァッジョ展にカラヴァッジェスキ(カラヴァッジョの影響を受けた画家たち)の一人として彼の作品が度々展示されていたからです。そうです、ピエトロはカラヴァッジョの強い影響を受けた画風の画家だったのです。

    Pietro Paolini(1603ルッカ生まれ~1681ルッカで没):父も母も画家だったので、両親から絵画の手ほどきを受けたようです。幼い頃から才能を発揮したので、父からローマに行って腕を磨くように勧められ、1619年、親許を離れて、ローマでアンジェロ・カロセッリ(1585‐1653)に弟子入りしました。アンジェロの工房には、1628年または1629年までの約10年間を過ごし、修行に励みましたが、アンジェロは、カラヴァッジェスキでしたから、当然、ピエトロもアンジェロの画風の影響を受けたのです。しかし、ピエトロがカラヴァッジョの影響を受けるようになったのは親方アンジェロからよりも、修行中にバルトロメオ・マンフレディと彼のサークルの画家たちと親密に交際しているうちにカラヴァッジョの影響を強く受けるようになったのです。
    こう書きましたが、少し不親切ですね。エート、バルトロメオ・マンフレディは、最も有能なカラヴァッジェスキの一人だったと付け加えないといけませんね。
    バルトロメオとの交流をきっかけに、他のカラヴァッジョ派の画家たちとも交流するようになり、彼の画風はカラヴァッジョからの影響がより一層強まりました。
    1629年から1631年までヴェネツィアの滞在しましたが、その間、ヴェネツィア派の数多くの作品に接するうちに、彼の画風に多様性が加わることになりました。
    1631年、父が死去したので、修行の遍歴を止めてルッカに戻り、自分の工房を構えました。
    彼の画風ですが、カラヴァッジョの影響を基調にしながらも、静物画、楽器、音楽、寓意的画題を積極的に取り上げるなどの独自性を発揮し、単なるカラヴァッジョの影響を受けた画家の枠に留まりませんでした。
    彼の大きな功績は、1652年、アッカデミア・デル・ナチュラーレ(芸術学校みたいなもの)を設立し、多くの画家を育てたことです。彼の有能な弟子として、ジョヴァンニ・コーリ、フリッポ・ゲラルディなどの名前が直ぐに出てくるのですが、退屈でしょうから、これ以上触れるのを止めましょう。
    では、彼の作品を見てみましょう。

    ローマの国立古典絵画館(バルベリーニ宮)に彼の作品があります。

    「アレッサンドリアの聖女カテリーナの神秘な結婚」(ローマ国立古典絵画館の所蔵)

    バルベリーニ宮には、もう一点「聖母子とマグダラのマリアと聖ドメニコと聖フランチェスコ」がありますが、作品画像がありません。

    「バッカスと音楽の寓意」
    この作品は、アメリカのダラス美術館の所蔵ですが、ローマのサンタンジェロ城で開催されたカラヴァッジョ展で見ました。
    これ以上、作品画像が見つかりません。
    最後に私が見た彼の作品リストを載せて、この項を終わることにしましょう。
    ウッフィツィ美術館:「自画像」(ヴァザーリの回廊で展示されています)
    フィレンツェ、サン・サルヴィ教会美術館:「コメディーの寓意」(1650c)
    ルッカ、グイニージ邸国立博物館:「聖母子と聖ドメニコとシエナの聖女カテリーナ」「洗礼者ヨハネの祈り」「聖バルトロメオ」「聖ポンツァーノ」「聖母子と聖人たち」「聖グレゴリオ」

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