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独断と偏見で楽しむイタリア芸術

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  • from: シニョレッリさん

    2014年06月01日 08時52分26秒

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    リナシメント芸術家(63) エリザベッタ・シラーニ

    今回は、ぐうたらな父親を養うために、仕事に精を出し過ぎて過労死したとされる女流画家エリザベッタ・シラーニを取り上げます。

    「自画像」 描いているのは、グイド・レーニだと思います。

    エリザベッタ・シラーニ Elisabetta Sirani(1638ボローニャ生まれ-1665ボローニャにて没):バロック期にボローニャで活動した画家、版画家で、画家ジョヴァンニ・アンドレア・シラーニの娘です。
    先ず、彼女の父親ですが、ジャコモ・カヴェドーネに師事してから、グイド・レーニ工房で働くようになり、グイド工房で筆頭助手を務めるほどになりましたが、後に独立してボローニャで自身の工房を構えました。画風は、グイドの模倣に近いもので、独自性が殆ど認められないものでした。
    さて、エリザベッタの話に戻りましょう。父から絵画技法の手ほどきを受けてから、父の工房を手伝うようになりました。父以外の第三者から本格的に画業を学んだり、修業したことがないようです。それでもメキメキと腕を上げたようです。
    しかし、画家として身を立てるつもりはありませんでした。ところが、エリザベッタの才能を高く評価した小説家カルロ・メルヴァシアの助言に勇気づけられて、17歳の時に画家になる決心をしました。
    引き続き、父の工房で自分の仕事をしていたようですが、彼女が19歳の時に、父の通風が酷くなって父が仕事を出来なくなったので、父の工房を引き継ぎ、一手に仕事を引き受けて、父の代わりに家族を養うようになりました。
    彼女は、元々早描きでしたが、家族を養うために精力的に仕事を熟したことから、仕事の速さが評判になる反面、誰か助手がいるのではないか、と思われるようになりました。その疑念を晴らすために、高位の人々を招いて、その前で持ち前の早描きを見せたのです。
    その事が更に評判を高めて、次々と仕事が舞い込むようになり、仕事に追われる日々に拍車をかけるようになりました。
    とうとう27歳の若さで謎の死を遂げたのですが、過労と心痛によって胃潰瘍を発病して死に至った、つまり、その死は過労死だったとされています。
    父から「早く描いて、カネを稼げ」と言われ続けたとの説があります。また、父は娘の稼いだ金の殆どを取り上げたとの説もあります。
    ともあれ、父ですが、娘の謎の死に対して、「ぐうたらなお前を養うために、娘を過労死させた」との、多くの人々から強い非難を浴びました。皮肉なことに、画家としてよりも、その非難によって後世に名前が残ったとされています。
    さて、彼女に画風ですが、グイド・レーニを深く敬愛していたことからグイドの影響が認められ、それを基調に劇的な色彩表現と派手な動作をする人物の表現の独自性を打ち出しました。画家としては、明らかに父よりも勝ったと思います。
    大画面の神話や宗教的主題とする作品を得意としていましたが、個人からの注文も多く、その分野は肖像画や寓意画、歴史的主題など多岐に渡っています。仕事が早かったことから、実働期間が短い割には作品が多く、生涯200点以上を仕上げたとされています。
    彼女の二人の妹アンナ・マリアとバルバラも画家になりましたが、妹を画家として育成したのも彼女でした。

    では、彼女の作品を見てみましょう。

    「ベアトリーチェ・チェンチの肖像」(1662c) ローマ国立古典絵画館にあります。
    ベアトリーチェは有名ですが、ご存知でしょうか?
    ベアトリーチェは貴族の娘でしたが、暴虐な父から虐待を受け、父と近親姦の関係にありました。度重なる父の暴力に悩んだベアトリーチェは、密かに父を告発しましたが、貴族であったことから、告発は失敗に終わり、母と共に田舎に追い出され更に酷い仕打ちをうけることになり、最早、父を殺す以外に手立てが無いと覚悟して、家族全員で父を殴殺したのです。事が露見して、ベアトリーチェは斬首の刑に処せられたのです。
    ベアトリーチェは、貴族社会への反抗の象徴として奉られ、文学、絵画、音楽などに取り上げられました。
    この作品は、グイド・レーニの作品の複製でしょうね。

    「慈善に励むアンナ・マリア・ラヌッツィ・マルシーリの肖像」 ボローニャのリスパルミーオ銀行美術館蔵

    「幼きキリストを抱くパドヴァの聖アントニオ」 チェゼーナ貯蓄銀行美術館蔵

    「アレキサンダー大王の隊長を殺すティモクレア」(1659) ナポリのカポディモンテ美術館にあります。

    「聖母子」(1661) サン・マリーノ国立美術館蔵

    ボローニャの国立美術館などボローニャの美術館や教会に行くと、彼女の作品を大体見かけることになります。彼女の生涯を知らないうちは、然程気に留めることがありませんでしたが、家族を養うために素早く描いたと知ってから、じっくり鑑賞するようになりました。素早く描いた痕跡は微塵も感じられず、どの作品も丁寧に仕上げられたことが分かり、それに依って、彼女の性格をある程度推測できたと思っています。

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