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from: 飛行艇さん
2016年03月02日 12時02分14秒
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最高裁判決・認知症事故訴訟・家族に賠償責任なし JR東海の逆転敗訴が確定
争点は「認知症高齢者を介護する家族の監督義務」だという。
手もとにある行政書士受験六法をさっそく見てみると、民法714条に”責任無能力者の監督義務者等の責任”とありました。
【事件の概要】
平成19年12月7日、愛知県大府市で徘徊症状のある男性が電車にはねられ死亡。男性は当時「要介護4」の認定を受けていたが、同居していた当時85歳の妻らが目を離したすきに男性は外出していた。事故後、JR東海と遺族は賠償について協議したが合意に至らず、22年、JR側が「運行に支障が出た」として遺族に720万円の支払いを求めて提訴した。
【民法714条】
認知症などが原因で責任能力がない人が損害を与えた場合、被害者救済として「監督義務者」が原則として賠償責任を負うと規定している。
1審名古屋地裁→「目を離さず見守ることを怠った」と男性の妻の責任を認定。
長男も「事実上の監督者で適切な措置を取らなかった」として2人に
請求通り720万円の賠償を命令した。
2審名古屋高裁→「20年以上男性と別居しており、監督者に該当しない」として長男への
請求を棄却。妻の責任は1審に続き認定し、359万円の支払いを命じた。
最高裁判所(第3小法廷(岡部喜代子裁判長)
→男性の妻に賠償を命じた2審名古屋高裁判決を破棄、JR東海側の逆転敗訴を言い渡した。
同居していた妻は高齢の上、「要介護1」の認定を受けていたなど「監督義務を負わせるのは酷だ」と、1、2審判決に批判も多かったといいます。
また、介護の方針を決定していたとされる長男の責任についても、認知症を抱える家族らから「同居していない家族に責任を負わせれば、家族による積極関与が失われ、介護の現場は崩壊する」という意見も出ていたそうです。
民法714条のただし書きには、「ただし、監督義務者がその義務を怠らなかったとき、又はその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは、この限りではない。」となっておりますので、最高裁判所の判決が妥当かと思いました。実際、後述する行政書士試験にも出題された
民法714条の判例をみましても、最高裁は民法714条1項の責任について、わりと緩やかに判断する傾向が続いているようです。
それにしましても、最高裁判所の判決でようやく覆ったとはいえ、認知症になる、または近親者が認知症になるという事例は他人事ではないだけに、第一審の名古屋地裁の判決はもう少し情状酌量の余地があってもよかったのではないかと思われます。
ただし、第一審裁判に至るまでの両者の協議でどんなやりとりがなされたのか判明しておりませんので、一方的にJR東海が冷たい、きびしいともいえません。そこがこういった問題のやりきれない、難しい部分だと感じました。
【行政書士の試験における民法714条】
民法714条からは、平成21年度の行政書士試験にて出題されており、民法714条1項の責任が否定された最高裁判例(平成18年2月24日)が「責任能力を有する未成年者が不法行為をなした場合における親権者の責任」を論点として出題されております。肢の一つ(問題34の肢2)として出題されており、正解の肢で登場しました。
手もとにある行政書士受験用の判例集で調べましたら、もう一例、やはり同じく民法714条1項の責任が否定された最高裁判例(平成27年4月9日)がありました。これは「運動場を超えて飛んできたサッカーボールによって起きた交通事故により死亡した被害者の相続人がサッカーボールを蹴った男児の両親を相手に損害賠償請求を起こした」というものでした。この判例においても男児の両親について「監督義務者としての義務を怠らなかった」と最高裁は判断を下しました。判旨と結果だけはよく頭に入れておこうと思いました。-
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