はっさくと、夏みかんが並んで売ってたんやけど
なんで夏やなくて、こんな寒い冬に出てくるのに、夏みかんって言うんやろか？

和歌山県産のはっさくやで。
これも郷愁なんよね。
ターシーちゃんのもみじのようなちっちゃなお手てでは、はっさくの皮が剥けなかったんよ。
それをアヒルの形したプラスチックの皮むきで母親が剥いてくれたんよ。
なおかつ、中の実の薄皮の上の方を母親が自分の歯で横にピューときって、
ひっくりがえして食べやすいようにしてくれて、ターシーちゃんお食べって言ってくれてな。

はっさくは、間違いなくターシーちゃんの最高級フルーツの１つやろね。

ある人が話してたんよ。
料理は郷愁だって。
人それぞれに美味しいものや、好みってのはまちまちなんだ。
それは、子供の時に母親が作ってくれた食事が関係してるって。
今、その味に出会った時、それはその人にとってご馳走だと。
サバの煮付けでも、卵焼きでも、おにぎりでも。

この前、イチゴに牛乳入れて、砂糖まぶして食べたら美味しいと言う感情とは別に
もう亡くなってしまった父や母、おじいちゃん、おばあちゃんの顔を思い出すんよ。
もうこの世にはいないし、イチゴの品質も当時より遥かに向上してるけど、舌を通じて蘇る場面がそこにあるんよ。
大切な思い出を蘇えさせるために今日もまたターシーちゃんは、イチゴを食べるんやろね。