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【参加レポート】ホープツーリズムモニターツアー ~映画「1/10 Fukushima をきいてみる」の古波津監督とめぐる旅~ (2025/1/25-1/26)

みなさん、こんにちは。コミュニティスタッフのミドリです。このコミュニティは、福島県浜通りの「いま」について一緒に知っていこう!という場です。2025年

みなさん、こんにちは。
コミュニティスタッフのミドリです。

このコミュニティは、福島県浜通りの「いま」について一緒に知っていこう!という場です。

2025年1月25日(土)~1月26日(日)に、【ホープツーリズムモニターツアー ~映画「1/10 Fukushima をきいてみる」の古波津監督とめぐる旅~】が実施されました。

全体で古波津監督をはじめ30名ほどのツアーで、浜通りの「いま」を見て、聞いて、体験してきました。コミュニティスタッフからレポートが届きましたので、ぜひお読みください。

===
1月25日、朝8時15分に東京駅に集合し、特急ひたち5号で福島・いわき駅へ出発しました。

(ホープツーリズムの旗が目印!)

今回はホープツーリズムに興味をもつ社会人や学生が集まり、「被災地の今を自分の目で見たい」「地元の人の本音を聞きたい」という思いが交わされるうちに、初対面ながらすぐ打ち解けた雰囲気に。いわき駅で貸切バスに乗り換え、まず向かったのは楢葉町の天神岬。ツアースタッフさんからの「今はこんなに穏やかな景色でも、あの時は全く違っていた」という言葉が胸に残ります。海風を感じながら、地元食材をふんだんに取り入れた昼食をいただきました。

(とても良い天気で海も穏やかでした)

午後は中間貯蔵施設へ移動。「中間貯蔵施設」と聞くと一つのまとまった施設を想像しますが、実際には大熊町と双葉町にまたがった広大な場所です。今回はその一部をバスで見学させていただきました。

※中間貯蔵施設とは、除染により福島県内に発生した土壌などを最終処分までの間、一時的に安全かつ集中的に貯蔵している施設です。

(まずは施設の説明を聞いています)

バスで説明を聞きながら施設内を巡ると、ここがかつて人々の日常生活の場だったことを感じ、もやもやした気持ちが沸き上がります。民家や車など、介護施設「サンライトおおくま」の建物もそのまま残っているものもあり、中間貯蔵施設に組み込まれた"生活の痕跡"が、震災や原発事故の影響を生々しく伝えています。

(津波の影響そのままに残っている)

(放射性物質を取り除く除染により発生した土壌を最終処分までの間、一時的に保管しています)

夜は宿にて、映画「1/10 Fukushimaをきいてみる 2023年版」の上映会が行われました。「1/10 Fukushimaをきいてみる」は2013年から毎年つくられており、地元の方々、関係者の方のインタビューで構成されています。古波津監督によると、できるだけそのまま感じていただけるよう、演出は極力入れないようにつくられているそうです。

2013年に相馬でこの映画を初めて上映した際、「みんな状況を知りすぎていて、リアルすぎてつらい」という反応もあったそうですが、10年経ち、登場する人々の言葉から「自分だけでなく他者を慮る」雰囲気を一層強く感じるようになったといいます。「もやもやする」という感想が多い作品だけれど、その"もやもや"こそが考え続けるきっかけになる——監督の言葉に、私自身、ツアーが始まってからずっと感じていたもやもやとした感覚について腑に落ちるものがありました。

ここでは、映画の中で語られていた中から印象に残っているものを書き留めておきたいと思います。各地で上映会がされているので、みなさんもぜひご覧いただきたいです!

▼参考URL 「1/10 Fukushimaをきいてみる」
https://home.tsuku2.jp/f/1_10ask/Fukushima

「風評被害は仕方がない。目の前で魚がとれて喜んでくれるお客さんがいる。いまの現実はこうなんだよと話している」(みなとや 管野忍さん)

「国は(対象が大きく広いので)すぐには手を差し伸べられない。だからこそ人と人とのつながりが必要。自分も守るけど隣の人も守る。『人の利益を考えられるか』しか解決方法は無いのではないか」(遠藤清次医師)

「原発は効率がいいので今から作る国があるけど、原発を終わらせる技術がない。軟着陸させてフェードアウトさせる、そういう産業、そういう復興をするのがいい。エネルギーを持ってないのは日本くらい。やべぇなと思ったらゲームチェンジのチャンス」(會澤高圧コンクリート 會澤祥弘社長)

「(当時幼かったので)被災前の記憶はない。『失った』わけではないから取り戻したいという強い想いはない。被災者ではあるけど、復興に熱い想いがあるとか思わないでほしいとも思う。でも経験者として伝えられることはある」(学生 菅野芽生さん)

「今の社会課題が福島へ行くと浮き彫りになる。歴史の1ページではなく自分が知らないだけではないか。"もやもや"することには価値があり、それこそが人を育てる」(灘高校 池田教諭)

上映の後は、古波津監督、全作品でインタビュアーをされている佐藤みゆきさん、みなとやの管野忍さんのトークの時間があり、映画内で語られていたことをいっそうリアルに感じられる時間でした。

(左から佐藤みゆきさん、管野忍さん、古波津監督)

映画の後は「復活の浜焼き」の時間。松川浦ガイドの会のみなさんによると、浜焼きは親世代が当たり前にやっていたことで、震災の後、大変なことや辛いことがいろいろあって、できるようになったとのこと。相馬は避難せず祖父母世代が残っており地域の暮らしなどについて話が聞けるのがありがたい、という言葉から、当たり前にあるものやことを継承していく大切さをあらためて考えさせられました。

(ガイドされながらみんなで串打ちし、焼いていただきました。他の魚介もとっても美味しく、お酒がすすみました!)

▼参考URL 松川浦ガイドの会 松川浦での体験
https://hopetourism-enjoyplus.jp/spot/disp.html?id=8

翌26日は朝8時に松川浦を出て、浪江町でのフィールドワークへ。まず大平山霊園を訪れました。霊園から海に向かっての一帯はかつて住宅があったところです。

(かつて住宅があったところです)

唯一の震災遺構となっている請戸小学校は津波による損傷がそのまま残されています。
校舎は津波の影響を受けたものの、迅速な判断などにより犠牲者が出なかった奇跡の学校です。

(各室の時計や火災報知器を一括管理していた複合盤の機能停止により、時計は全て15時37分を刻んだまま停止しています)

展示ではかつての生活の記憶を保存・継承していく取り組みも紹介されています。

(1/500の縮尺で復元された街の模型に記憶が刻まれています)

▼参考URL 震災遺構 浪江町立請戸小学校 犠牲者0人 奇跡の学校
https://hopetourism-enjoyplus.jp/spot/disp.html?id=1

請戸小学校の近くに、會澤高圧コンクリート(株)の福島RDMセンターがあります。「発熱するコンクリート」や「電気を蓄えるコンクリート」、「自己治癒するコンクリート(特殊培養したバクテリアとポリ乳酸を生コンクリート製造時に処方することで、経年で"壊れて行く"通常のコンクリートを、ひび割れが発生しても自動的に治し続ける)」、「ドローンによるコンクリートの『3Dプリンター』」など、ワクワクするような最新技術の数々を、津波の爪痕が生々しいこの地で見ていることの不思議さと、人の力強さにくらくらします。

(空飛ぶ生コンプリンター。建築手法の非連続な進化が想像できます)

最後は、道の駅なみえで昼食の後に大熊未来塾の木村紀夫さんのお話を伺いました。木村さんは、震災時にご家族3人をなくされています。さらに原子力災害により捜索が困難となる中、ご自宅のある土地周辺は中間貯蔵施設エリアに指定されます。そんなご経験から、今後の災害で命が失われないこと、誰も犠牲にしない社会の構築について考える語り部活動を続けていらっしゃいます。

▼参考URL 大熊未来塾
https://okuma-future.jp/

当事者である木村さんが語ってくださったことを文字で再現するのはとても難しいことです。
ある日突然、家族をなくすということ。個人の力ではどうにもできないこと、なぜ自分たちが?なぜ娘が?という想い、そもそもなぜこんなことが起きるのか?という現代社会の現状など、一つだけでも重い問いが次々に提起され、息苦しささえ感じます。

木村さんのお話とともに、前日から見てきたものや伺ってきたお話もリアルに思い出される中、地震、津波、原発事故という複合災害による問題の大きさや複雑さに直面する時間でした。
それに対して即座に何かを言うことは難しく、「もやもやする」という言葉にしかならない感覚。

(木村さんのお話の後は各テーブルで2日間を振り返っての意見交換)

みなさん、もやもやした気持ちと、「復活」や「復興」を感じた希望と、濃密なプログラムを終えた安堵など、たくさんのものを振り返りながら帰路につきました。

(浪江駅から東京へ向かいます。おつかれさまでした)

とても濃密なプログラムの2日間でしたが、終えてみて思うのは、やはりこれはダークツーリズムではなく「ホープツーリズム」なんだという実感です。ツアーを終えて約1か月経ちますが、周りの方と話したり、ニュースなどが気になったりと、明らかに参加前との変化があります。

次回はぜひ、知人と一緒に参加し、お互い感じたことを対話していきたいと思いました。

公益財団法人福島県観光物産交流協会のみなさま、関係者のみなさま、とてもとても貴重な機会をありがとうございました。

最後に、ツアーの後日、古波津監督からいただいたコメントもお届けします!
===
「1/10 Fukushimaをきいてみる」シリーズ監督の古波津陽です。

このたび、福島での上映会を開催し、映画に登場する方々と直接交流できるという貴重な機会をいただきました。スクリーンを越えて、リアルな福島の姿に触れていただけたことを、とても嬉しく思っております。

これからも、福島を愛する皆さんと、現地のリアルな息づかいをつなぐ作品を届けていきたいと思います。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
===

いかがでしたか?
みなさんからも、ぜひコメントをお願いします。

<コメント募集>
レポートを読んで、印象に残った場所やことば、感じたことなどを聞かせてください。

みなさんからの投稿を楽しみにしています!

(コミュニティスタッフ ミドリ)

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from: みっち〜さん

2025/03/05 11:49:06

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震災が起きた時は、福島県に住んではいませんでしたが、縁あって、移住して4年目になります。当時、他県ながらも影響はありましたが、改めて、その時の被害状況、現在の復興に至るまでの道のりの長さを感じさせられました。震災後の様子を見にきたことがありますが、言葉では表せないぐらい暗く、重たい雰囲気だったのを覚えています。
レポート等読ませていただいて、つくづく参加したかったなぁと思いました。

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